研究課題/領域番号 |
21K12577
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
赤尾 佳則 科学警察研究所, 法科学第四部, 室長 (30356159)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 文字 / デザイン / 共通指針 / 筆跡 / 活字フォント / 深層学習 / フォント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,手書き文字について,文字種を超えた共通デザイン指針を抽出することを目的とする.手書き文字を見て「ある人が書いた」と分かることは,日常生活の中でもしばしば経験する.このような言語化が難しい感覚を表現するため,深層学習による筆者識別実験をおこなう.識別の根拠となった注視領域を解析することにより,共通デザイン指針の理解を目指す.デザイン指針が明確な活字フォントについて同様の実験を行い,理解の補助とする.
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研究実績の概要 |
本年度は,昨年度に引き続き,筆跡データベースを使った筆者識別実験を継続した.当研究所が保有する401 名(5回繰り返し)の筆跡データベースのうち,漢字548字種について,深層ニューラルネットワーク(GoogLeNet)の学習に基づく筆者識別実験をおこなった.以下の2種類の実験をおこなった.実験1:学習に用いた文字種でテスト,実験2:学習に用いていない文字種でテスト.実験1,実験2のそれぞれにおいて,筆者401クラスの分類では,活性化関数の出力値に基づき,以下の2種類の評価方法を用いた.評価1:1字ごとに評価,評価2:複数文字の平均値で評価.その結果,評価1を適用した場合,実験1の平均識別精度は68.5%,実験2では60.8%であった.一方で,評価2を適用した場合には,実験1の平均識別精度は98.5%,実験2では98.9%であり,1字で評価した場合に比べて,実験1,実験2ともに大幅に向上した.これは,複数文字を通じて存在する筆者の特徴を複合して評価することの重要性を示すものと考えられた.さらに,筆跡による実験との対比として,活字フォントを使ったフォント識別実験にも取り組んだ.現在,漢字548字種について,8種類のフォントについて,異なる文字種を学習させたニューラルネットワークを用い,フォントの識別を試みる実験をおこなった.その結果,筆跡の場合は,漢字以外の平仮名や数字等では,文字種を超えた特徴の抽出が困難であったが,フォントの場合は,可能となる場合が多いことが分かった.詳細な解析を継続中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筆跡データベースを使った追加実験が終了し,予定していた実験が終了した.活字フォントを使った実験に着手することができ,次年度に向けて,両者の結果を対比させる準備を進めることができた.
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今後の研究の推進方策 |
フォントを使った識別実験を継続するとともに,筆跡と活字フォントの結果を対比する解析をおこなう.さらに注視領域の解析をおこなう.
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