研究課題/領域番号 |
21K12583
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
渡邊 真治 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 教授 (80254449)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 組織アジリティ / 心理的安全性 / ガバナンス / 組織文化 / デジタルトランスフォーメーション / 戦略的意図 / 組織コミットメント / ダイナミックケイパビリティ / デジタル・トランスフォーメーション / ダイナミック・ケイパビリティ / コーポレート・ガバナンス / プラクティス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、デジタル技術を活用し組織が競争優位を獲得・維持するメカニズムを実証的に解明することを目的としている。DX(デジタル・トランスフォーメーション)の理論的裏付けであるDC(ダイナミック・ケイパビリティ)を用いた実証分析を行う。特に、日本的組織文化や慣行(社員旅行、運動会、飲み会、5Sの清掃活動など)などを考慮した分析を行う。これらの分析結果から、デジタル技術の採用・効果と関係する重要要因の基準を明示した成熟度段階別重要項目リストを作成し、統計分析に基づく日本独自のDX推進ガイドを作成する。
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研究実績の概要 |
文献調査をもとにデジタルトランスフォーメーション(DX)に関連する変数を確定した。この変数についての半構造化のインタビュー調査を、労働生産性の高い業種(製造、情報通信、金融、証券、保険、不動産)、低い業種(建設、サービス、運輸、貿易、卸売・小売、医療・福祉)の企業の情報担当者やITコンサルタントに継続的に行っている。 日本の労働生産性は、2020年の調査で米国の値の約60%である。労働生産性が低い理由の1つは、情報化によって仕事に必要な労働量が削減されていないことである。比較的労働生産性の高い産業では、情報化が機能しており、労働生産性の高い産業よりもDXが効果的である可能性が高くなる。コーポレート・ガバナンスがDXに与える影響経路を、上場企業か非上場企業かで分析した。 2022年に行ったアンケート調査の822標本を用いた分析から、統計的に有意となった仮説は、(1)DX要因は企業の業績に正に相関、(2)心理的安全性は、組織のコミットメントを通じて企業の業績にプラスの影響を与える、(3)戦略的意図は両利きの探索にプラスの影響を与える、(4)上場企業は、非上場企業よりも探索やDXが業績に与える影響が大きい、であった。また、想定していた(5)労働生産性の高い産業の係数は、労働生産性の低い産業の係数よりも大きいという点は有意とならなかった。 また、(6)組織要因とDX戦略要因との間に十分な因果関係を確認できなかった。この点は、アンケートに回答した企業の多くでまだ十分にDXが浸透してないことが考えられる。この点を考慮した調査を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため想定していたインタビュー調査がオンラインへと変更されたり、延期になった。この調査では、インタビューだけではなく実際のデジタル技術の利用状況を観察することが重要である。昨年の後半から現地でのインタビュー調査が徐々に行えるようになってきた。この調査によって、業界ごとの組織要因とDX戦略要因との間の因果関係を分析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
O‘Reilly と Tushman (2008) が指摘するように、両利きの経営の成功はトップ リーダーの対応にかかっている。 会社の従業員を対象とした調査のため、この調査ではトップ リーダーに限定して質問していない。 現在、トップリーダーへの調査とインタビューを実施する予定である。 最終年には、企業文化の変革、業務・組織・プロセスの変革、製品・サービス・ビジネスモデルの変革のタイミングをアンケートやヒアリングを通じて分析し、 DX推進要因の成熟度モデルなどを作成する。
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