研究課題/領域番号 |
21K12590
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田村 光平 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (60725274)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 文化進化 / 考古学 / シミュレーション / データベース / 弥生時代 / 人骨 / 三次元データ / 縄文時代 |
研究開始時の研究の概要 |
人類史の復元には、人類の文化についての情報である考古学データと、担い手についての情報である自然人類学のデータの両方が必要である。本研究では、日本列島の先史時代の人骨データベ ースを構築するとともに、縄文・弥生時代の移行期を対象としたシミュレーションをおこな う。シミュレーションのパラメータ推定を通じて、縄文・弥生の交替劇について、シンプル な集団の置き換わりや融合、あるいは「多様である」という言葉での表現を超えた示唆を得 ることをめざす。さらに、データベース化により情報へのアクセスを容易にし、考古学・自然人類学の相互理解の促進を試みる。
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研究実績の概要 |
縄文時代および弥生時代の、頭蓋骨の三次元データの解析についての論文を投稿・出版することができた。本研究課題において重要な点として、縄文時代内・弥生時代内であっても、時期内の形態変異は大きいものの、縄文時代の頭蓋骨と弥生時代の頭蓋骨のあいだに傾向ではあるものの形態差が認められ、識別できることが挙げられる。また、弥生時代人骨の形態変異に、ゆるくではあるものの、東西の地理的クラインがあることが認められた。他方で、昨年度から引き続いている、倫理面も含めたデータの公開に関する検討を終えることはできなかった。 また、遠賀川式土器の二次元および三次元データを合わせた拡散過程の分析についての論文を、現在投稿準備中である。 加えて、構築した土器の三次元データのデータベースに関する発表を、国際学会を含む複数の学会でおこなった。また、こうした成果を『カタチの由来、データの未来:三次元計測の人類史学』(勁草書房)にまとめ、2〜5章の執筆に参加した。本書の2章では、申請課題におけるデータベース構築の背後にあるオープンサイエンスをはじめとする学術的・政策的動向や、思想的側面、考古学におけるオープンサイエンスの海外の取り組みなどについても紹介した。同時に、他の章で、これまで進めてきた人骨および土器の解析結果について紹介するとともに、論文では触れていない注意点やチュートリアル的な情報、今後の展開などについても取り上げている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
土器および人骨の三次元データの分析は概ね完了しているが、それらを組み込んだシミュレーションの実行が、大きな遅れではないものの、計画よりやや遅れている。また、人骨データの分析をおこなった論文について、人骨の利用に関する倫理委員会がないといった、研究内容というよりも倫理的な面において、論文の投稿・審査に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
シミュレーションの実装を進める。データベースについては、遺跡情報と所蔵施設のデータについても整理し、公開・検索できる体制を整える。現在最大の懸念材料は人骨資料の倫理的側面である。アメリカ人類学会が人骨資料の管理や研究のための新しい倫理指針を策定しており、倫理審査のためのシステムが整備されていない日本からは、海外の論文誌への投稿や公開のハードルが上がる可能性がある。研究を進めるとともに、そうした動向についても注視する必要がある。
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