研究課題/領域番号 |
21K12597
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小野 永貴 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (10592868)
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研究分担者 |
宇陀 則彦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (50261813)
佐藤 翔 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (90707168)
高野 和彰 日本大学, 芸術学部, 講師 (70831105)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 全天球映像 / 電子図書館 / 書架回遊 |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルス感染拡大による図書館の利用制限に伴い、「物理的な書架を見ながら館内を歩いて資料を探す」という“ブラウジング”の機会が抑制されつつある。利用者にとってブラウジングの経験は、資料の分類把握や館内の空間認識を向上させる契機になっていたと考えられ、この機会が損なわれることは、図書館利用能力が十分に育まれない可能性がある。そこで本研究は、新型コロナ対策後の図書館において、書架回遊経験による能力形成効果を持続させるための手法確立を目指し、360度全方向を見渡せる全天球画像・映像を用いたバーチャル図書館コンテンツの研究開発を行う。
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研究実績の概要 |
今年度は、筑波大学附属図書館研究開発室プロジェクトの一環として研究を実施する体制を構築し、実際に同大学附属図書館情報学図書館から協力を得て図書館現場での撮影および実験を行った。具体的には、2023年9月~11月の間の計7日間にわたり、同大学附属図書館情報学図書館にて、Matterport Pro2カメラを用いた全天球画像の撮影を実施し、撮影結果の編集作業を行った。次に、全天球画像をマップ上へ合成するにあたり、Matterport社のクラウドプラットフォームを利用して、VRモデルを生成した。最終的な走査点数は705点であった。さらに、生成されたVRモデル上で、テキストや動画・画像を用いて図書館のもつ機能(自動貸出機,電動集密書架,OPAC検索用端末 等)を解説する注釈タグの付与を行った。これは、図書館の各機能に関する説明を読みながら回遊する場合と、読まずに回遊する場合の両効果を検証することを目的としている。 そして、これらの作業を通してコンテンツのプロトタイプを研究開発した後、利用実験を開始した。具体的には、コンテンツをノートPCのモニタに表示し、マウスを使用して移動する形態で、大学生に対する利用効果を検証した。実験の想定シチュエーションとしては、制限時間内にルート図に沿ってVR空間内を歩いてもらうことで、現実世界で行われている図書館ツアーを仮想的に再現するよう試みた。利用前後で質問紙調査を行うことで、コンテンツ内での書架回遊による効果や影響を分析可能なデータを収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に策定した推進方策において、3年目は「一定の規模の書架に対する撮影およびコンテンツ開発を行い、その評価実験の実施および実験データの複合的な分析まで至ることを目標」と示していたが、その大部分を計画に沿って遂行することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は補助事業期間を延長したため、改めて最終年度を迎える。最終年度にあたり、実験の結果や文献調査等の結果を総合的に解釈し、最終的な成果論文を対外発表することを目指している。具体的には、以下の手順を予定する。 まず、令和5年度に撮影済みの、筑波大学附属図書館情報学図書館を対象としたコンテンツのプロトタイプについて、さらなる加工・編集を行い利用効果の向上に資する改善を図る。次に、令和5年度に実施した同コンテンツの利用実験について、より詳細な結果データの分析や追加の検証を行い、コンテンツの利用効果や他種の図書館サービスと比較した特性を考察する。最終的には以上の成果をふまえ、新たな図書館サービスとして果たしうる役割や波及可能性、および持続可能な運用手法の実現性について、総括的な議論および提言を行う。
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