研究課題/領域番号 |
21K12605
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
田中 優子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30701495)
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研究分担者 |
犬塚 美輪 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50572880)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 誤情報持続効果 / 認知バイアス / 心理的要因 / 情報汚染 / 訂正 / デマ / 誤情報 |
研究開始時の研究の概要 |
情報通信技術(ICT)を介して迅速かつ広範囲に伝達される情報は、災害時の情報共有や意思決定に役立つ一方で、デマ拡散ツールとして悪用されれば社会を混乱状態に貶めるリスクもある。誤情報拡散防止のための方法論の確立に向けて、本研究では、誤情報に対する信念がカウンター情報呈示後も維持される誤情報持続効果に着目し、その効果が生じる認知的メカニズムを実証的に明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
誤情報持続効果(continued influence of effect of misinformation)とは,誤情報の誤りを指摘する訂正情報を知った後も,誤情報を信じ続け,その影響を受け続ける心理現象である。誤情報持続効果は,訂正情報に視覚的注意を払っていても,訂正情報を記憶していても生じる。このことは,手元のICT端末に有益な訂正情報が受信・表示されているにもかかわらず,それがユーザーの意思決定および行動変容につながらない可能性を示唆する。誤情報が社会にもたらす影響を制御するためには,誤情報持続効果が生じるより高次の認知プロセスを解明し,それらを考慮した介入手法を確立することが求められる。本研究は,ユーザーの認知と情報デザインとのインタラクションの観点から,これまでに蓄積されてきた心理学的知見を活かしつつ,ICT環境での誤情報の認知メカニズムの解明および誤情報持続効果緩和のための介入手法の検討に取り組むことを目的としたものである。 2年目である2022年度は,オンライン環境で訂正情報にアクセスする場合に通常訂正情報が呈示される前に当該リンクをクリックするプロセスがあることに着目し,信じている誤情報に対する訂正情報にアクセスするためのリンクを選択的に避けることがあるのかという仮説を検証する実験を実施した。独自に考案したクリック回避行動分析指標を用いて分析した結果,43%が信じている誤情報を訂正する情報にアクセスするためのリンクのクリックを選択的に回避する傾向があることが示された。実験結果は,ヒューマン・コンピュータ・インタラクションの国際学会CHI2023に投稿し,フルペーパーとして採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オンライン環境での訂正情報の効果を制限する要因として,誤情報持続効果と密接に関連すると考えられる選択的クリック回避行動に着目し,独自に考案したクリック回避行動分析指標(Fact Avoidance/Exposure Index)を用いて実験を実施できたこと,またその結果はヒューマン・コンピュータ・インタラクションの国際学会にフルペーパーとして採択された。さらに,この信じている誤情報の訂正にアクセスするリンクのクリック回避行動を緩和するための介入方法について,別の実験を実施した。結果から,このクリック回避行動はシンプルなテキストベースのインストラクションでは緩和されないが,人のクリック傾向を利用したデザイン介入によっては緩和されうることが明らかになった。この成果は国際学会CogSciに投稿しフルペーパーで採択された。これらのことから,本研究課題は順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,2022年度の研究で明らかになった「信じている誤情報の訂正にアクセスするリンクのクリック回避行動」と誤情報持続効果の関連を検証する実験を実施する予定である。これにより,オンライン環境での訂正情報の効果について,クリックフェーズ,訂正情報の呈示フェーズ,読み手の信念変化までの一連のプロセスとして検討することが可能になる。
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