研究課題/領域番号 |
21K12606
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
脇田 真清 帝京大学, 文学部, 准教授 (40301270)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 言語 / 音列 / メロディ / 鳥類 / オウム / 弁別 / 進化 / ブローカ野 / 比較認知科学 |
研究開始時の研究の概要 |
時間的に規則的な音列を抽出することは、ヒト音声言語の理解に欠かせない能力である。この能力は音楽ドメインでも共有される。これまでに、ヒトに近縁な非ヒト霊長類にこうした音列知覚の能力があることが報告されていないが、アシカやオウムなどでは音列知覚を示唆する報告がある。そこで、オウムの一種であるオカメインコを訓練し、メロディーの弁別訓練をおこなう。弁別達成後に、オクターブや調を変化させたメロディ刺激を用いて般化テストをおこなう。この結果を、サルでの先行研究と比較し、ヒト化の過程での言語獲得、言語進化の必要条件を考える。
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研究実績の概要 |
時間的に規則的な音列を抽出することは、ヒト音声言語の理解に欠かせない能力である。この能力は音楽ドメインでも共有される。これまでに、ヒトに近縁な非ヒト霊長類にこうした音列知覚の能力があることが報告されていないが、アシカやオウムなどでは音列知覚を示唆する報告がある。そこで、ヒト以外の動物で音列知覚の能力を調べるために、オウムの一種であるオカメインコを訓練し、知覚に音列の体制化が必須なメロディーの弁別訓練をおこなう。オウムには同じ体重のサルよりも神経細胞の密度の高い大脳があることが知られている。オウムにサルより優れた音列知覚の能力があるなら、生物学的にサルほど近縁でない鳥類が、ヒト化の過程での言語獲得すなわち言語の起源や、ヒトの言語知覚能力を理解するための動物モデルとして役立つ可能性を示唆することになる。当初は、オウムの一種であるオカメインコにおいてメロディー刺激の弁別訓練を行い、聴覚認知の特徴を調べることを目的とした。しかし、トリの訓練のための時間が十分に確保できず、計画が予定通りに遂行できなった。そこで今年度にはトリの自然な行動を利用した選好を指標にして音列弁別の能力を調べることにした。計画を実行したところ、オカメインコ1個体で音列刺激に対する選好を観察できた。このデータを元に学会発表を行った。その後、継続して観察を行い、単調な音列パターンより時間次元や音高次元に変化のある刺激が選好された。しかし、時間・音高次元の変化が組み合わされたより複雑なパターンの刺激は、それらの音列より選好されなかった。こうした結果を検証し、当初の目的を達成するため、新たな個体を導入し観察を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、弁別訓練の成績のみならず、弁別訓練後に複数の刺激を用いた般化テストにより、トリが手掛かりとしている音列の特徴を調べる予定であった。そのために、装置を受注しトリを訓練した。しかし、研究以外の負担が多く訓練を十分に行うことができないため、研究計画を見直し、訓練を要しない観察法による刺激選好法に変更した。その結果、オカメインコ1個体で音列刺激に対する選好を観察できた。このデータを元に学会発表を行うことができ、これまでの遅れを取り戻し、計画の完成に目処をつけられた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに計画通りに目標を達成できていないが、実験手続きを変更することにより計画の遅れをある程度取り戻すことができた。したがって、この手続きのままで改善すべき点を改善しながら実験を継続する予定である。具体的には、次年度の前半では個体を追加しつつ、効率よく結果を得る。後半までには成果をまとめ論文として国際学術誌に投稿することを計画している。また、本来の目的であった、オペランと条件付けによってトリの音列知覚能力をより高い精度で解明する努力を続ける。
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