研究課題/領域番号 |
21K12610
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
佐藤 直行 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (70312668)
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研究分担者 |
水原 啓暁 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (30392137)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 脳科学 / 脳波 / 神経回路モデル / 脳情報処理 / 認知科学 / 高次脳機能計測 / ブレインマシンインターフェイス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、文章読解中の「理解の程度」を推定するための脳波解析技術を開発する。私たちはこれまで、文章読解中に計測した脳波データから、文章のどこの部分を「覚えているかどうか」を予測できることを示したが、理解を伴う記憶かどうかは明らかでなく、教育・学習への応用への障壁だった。そこで本研究では、読後の内容テストを含めた脳波計測実験により、理解と記憶と脳波の対応関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、文章読解中の「理解の程度」を推定するための脳波解析技術を開発することである。私たちは先行研究において、文章読解中に計測した脳波データの解析により、読解した文章のどこの部分を「記憶」したかを予測できたが、これに加え「理解」を伴うかどうかを予測できれば、応用価値が高まると考えた。令和3年度に実施した全脳神経回路シミュレーションの結果によれば、脳波進行波パターンは脳全体の活動パターンを反映し、かつ、頭部が非拘束の場合でもアーチファクトに影響を受けづらい脳波指標と考えられた。そこで令和4年度は、絵画呼称課題での意味処理の際の皮質脳波の脳波進行波パターンの解析を行った。結果として、θ-α帯域(~9Hz帯域)の脳波の空間位相パターンは課題時系列とはほぼ無関係にほぼ安定した空間位相差(側頭極側が位相進み、頭頂・後頭部側が位相遅れ、神経回路シミュレーションの結果と合致)をもつことが示された。また、より詳細な解析では、課題イベントが位相差に与える影響は少ないものの、位相の安定性(ばらつき)に影響を与えることが明らかになった。この結果は、局所脳波の空間位相安定性が、意味処理の程度を評価しうる有効な指標となるうることを示し、理解の程度の予測においても重要な成果である。また、実講義の理解をより多角的に理解するために、理解とも関連する可能性のある事象として、環境印象や安静程度と脳波の関連も補足的に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感染症対策の観点から実験参加者を多く募り計測するのが難しい状況だったが、自然な受講中の脳波計測・解析に有効と期待される新しい脳波指標を構築しつつある。令和4年度は意味処理と関連して9Hz近傍の位相安定性が変動することを明らかにしたが、この結果は文章理解の程度の検出において特に有用と考えられた。以上より、本研究課題の進捗状況はおおむね順調と考えた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は脳波計測の教育・学習への応用を目指すものであり、脳波進行波に関わる解析法を確立しつつ、理解と脳波の対応関係を明らかにする。特に、頭部非拘束の脳波計測および解析手法の開発はその主要な課題であり、今後とも注力する。
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