研究課題/領域番号 |
21K12623
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
堀 潤一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80209262)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 脳波逆問題 / 時空間イメージング / 情報伝搬経路 / 運動関連電位 / 視覚誘発電位 / 視覚情報処理 / 可視化 / 視覚情報伝搬経路 / ダイポールイメージング / 時空間解析 |
研究開始時の研究の概要 |
空間形状や動体など種々の視覚刺激に応じた脳内情報伝搬経路を実場面で可視化し、脳視覚情報処理機能を解明するシステムを構築することを目標とする。実環境での高分解能イメージングを実現するため,少数電極の最適配置による脳電気活動計測を実現し、超解像度化法を導入し,雑音情報を組み込んだ逆フィルタを構築する。さらに、高次脳機能計測のため、時空間的な脳内電気活動を捉える方法に拡張する。実際のヒトを対象とした実験により、チェッカーフラグ点滅刺激提示時やランダムドットによる運動視刺激提示時の時空間脳内電気活動を推定し、視覚伝搬経路の違いを確認する。最終的にフィールドなど実環境での脳機能解析の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
ブレインマシンインタフェースやニューロマーケティングなど脳神経科学の知見を実用的な場面へ応用する神経工学分野の研究が期待されている。その実現のためには、フィールドなど実環境において脳神経活動を計測する技術の確立が急務である。本研究では、自然環境下で非侵襲的に視覚情報伝搬経路の可視化を実現するため、脳波から高精度脳内電気活動を時空間上でイメージングする方法を確立することを目的とする。時空間分解能を考慮した超解像度化法を導入し、脳波逆問題を解くことで、高精度脳皮質電位の推定を可能とする。構築した脳波イメージングシステムを用いて、視覚形状や運動視覚刺激の違いにより背側皮質視覚路と腹側皮質視覚路の情報伝搬の可視化を目指す。 これまでに,脳波逆問題にダイポールイメージングという脳内仮想空間上の信号強度分布を等価的に推定する方法を適用し,さらに少数電極による非侵襲脳波計測の場合でも補間法を用いることで高精度に可視化する方法を検討した.シミュレーションによって,本提案法により,補間しない場合に比べて改善がみられ,多数電極と同等の精度が得られることを確認した.実験では,点滅刺激と運動視刺激に関するタスクを用いて視覚路の伝搬経路を確認し,それぞれ生理学的知見と一致することを確認した.今後,視覚以外の感覚野や運動野の可視化についても検討する.特に運動野の伝搬経路を可視化することにより,左右運動の識別精度の改善を行い,ブレインコンピュータインタフェースの実用化を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで,現状脳波イメージングによる可視化技術で脳全体を把握するのに100 チャンネル以上の電極を必要としたところ、実用化のため電極数を削減する方法を検討した.空間的な補間法を導入することにより,逆問題解析における計算精度を向上させ,可視化領域を限定すれば国際10-20法による20 チャンネル程度の電極でも実用可能となった.一般に補間法では,元々の情報量は増えないため,精度の改善が期待できないと考えられる.しかし,本研究では,頭部伝達関数の逆問題を解くことで脳内電気活動を推定しているため,雑音環境下でランク数を増やすことにより,精度の改善が実現できたと考察した.確立した脳波イメージング手法を実脳波に応用し有効性を確認した。まず,視覚情報の種類の違いによる脳内認知機能を把握するため、高空間分解能脳波イメージングを適用し、第一次視覚野の賦活とそれ以降の信号伝搬の様相を調査した.少数電極を用いた方法でも,視覚刺激の種類に応じて視覚野から側頭部、頭頂部への「活動部位の時間変化」を捉えることが可能となった.現在,運動時,運動想起時の脳波イメージングを検討している.
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今後の研究の推進方策 |
より高精度なブレインコンピュータインタフェースをより簡便な方法で実現するため、感覚野、運動野のイメージング精度の向上と簡略化を両立させる.少数電極による脳波イメージングの簡略化はある程度検討され,可能性が確認された.本年度は,特に本手法を脚部運動想起に応用し,時空間イメージングを実現することにより,移動支援を可能とする方法を検討する.脳機能局在化マップによると,脚部は頭頂部大脳縦裂付近にあるため左右の判別が困難であった。本提案法によって、高空間分解能で脳活動部位を可視化し,ダイポール信号源の位置と方向を推定すれば,脳溝付近の信号源を特定できると考えられる。加えて時系列解析を行うことで、運動視例に関する情報が脳内脚部運動野に至るまで,またそれ以降の信号源の伝搬過程を追跡できる.これらの結果を統合して脚部運動想起の左右判別を達成し,歩行を模擬する移動支援が実現できると考えられる。 最終年度にあるため,以上の研究より得られた結果をとりまとめ,成果を発表する。
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