研究課題/領域番号 |
21K12635
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山本 憲隆 立命館大学, 理工学部, 教授 (40210546)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | バイオメカニクス / 力学的適応 / 腱・靭帯 / 生体分子 / コラーゲン |
研究開始時の研究の概要 |
腱や靭帯は力学的環境の変化に対して,形態や力学的性質を変化させて適応(リモデリング)する.本研究の目的は,この力学的適応のメカニズムを分子レベルから解明することである.具体的な研究項目は,①腱から抽出したコラーゲン分子とプロテオグリカンを含む溶液から原線維と線維束を再構成する,②再構成過程におけるコラーゲン分子とプロテオグリカンの力学的相互作用を水晶振動子マイクロバランス(QCM)を用いて解析する,③再構成された原線維と線維束の力学的性質と微細構造を明らかにする,の3点である.
|
研究実績の概要 |
ブタ腱由来の酸可溶性Ⅰ型コラーゲン溶液からコラーゲンゲルや原線維を再構成させ,この過程で起こるコラーゲン分子間の力学的相互作用を水晶振動子マイクロバランス(QCM)を用いて解析し,再構成された原線維の微細構造観察と引張試験を行った.さらに,コラーゲンとプロテオグリカン(コンドロイチン硫酸C)を反応させて線維束を再構成させ,コラーゲン分子とプロテオグリカンの力学的相互作用について検討した. 水晶振動子を装着したセルのカップ部に,マイクロピペットを用いてコラーゲン溶液を滴下した.次に,コンドロイチン硫酸C,再構成用緩衝液を滴下して,コラーゲンゲルを再構成させた.得られた周波数の変化から,最小サセプタンス周波数と損失係数を算出した.その結果,コラーゲンにコンドロイチン硫酸を加えて反応させると,コラーゲンのみで反応させた場合に比べて,再構成されたゲルの弾性が大きくなることが明らかになった. 前年度より幅広くpHを変化させてコラーゲン溶液から原線維を再構成させ,この原線維の引張試験を行った.試験は倒立顕微鏡のステージ上で,暗視野下で行った.ステージ上に固定したマイクロマニピュレータに取り付けたマイクロ針を用いて,原線維を取り上げ,その両端をマイクロ針に巻きつけた.その後,生理食塩水中で原線維が破断するまでマイクロ針を移動させた.その結果,引張強度と接線弾性係数は,pH8.8で最も大きくなり,pHが8.8より小さくなると小さくなった.また,pHが8.8よりも大きくなると引張強度と接線弾性係数は大幅に小さくなった. 蛍光標識(FITC)Ⅰ型コラーゲン溶液と再構成用緩衝液を用いてコラーゲン原線維を再構成させ,その再構成過程を蛍光顕微鏡を用いて観察した.その結果,溶液中の分子が一度マイクロフィブリルやサブフィブリルを形成し,その後原線維を形成することが明らかになった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コラーゲン溶液とコンドロイチン硫酸から原線維や線維束を再構成させ,この過程で起こるコラーゲン分子間の力学的相互作用をQCMを用いて解析するとともに,再構成原線維の微細構造観察と引張試験を行った.さらに,蛍光顕微鏡を用いてコラーゲン分子からコラーゲン原線維が再構成される様子を観察することができた.以上のように,当初の計画通りに研究は進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度に引き続き,Ⅰ型コラーゲン溶液とコンドロイチン硫酸からコラーゲンゲルや原線維を再構成させ,この過程で起こるコラーゲン分子間の力学的相互作用をQCMを用いて解析し,再構成された原線維の微細構造観察と引張試験を行う.令和5年度では,Ⅰ型に加えてⅡ型やⅢ型のコラーゲン溶液を用いて再構成を行い,コラーゲンタイプの影響についても検討を行う.
|