研究課題/領域番号 |
21K12643
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 公益財団法人名古屋産業科学研究所 (2023) 豊橋技術科学大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
穂積 直裕 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (30314090)
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研究分担者 |
吉田 祥子 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (40222393)
田村 和輝 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 助教 (40822614)
長岡 亮 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (60781648)
川島 朋裕 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70713824)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 超音波顕微鏡 / 音響インピーダンス / 培養細胞 / サイトカインストーム / 音響インピーダン / 生体細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
医学生物学の場面で,細胞・組織の分化状態や健全性を生きたまま観察する技術が求められるが,光学的細胞観察は,屈折率にもとづく二次元的な外形観察や,染色操作を要する侵襲的観察となり,生きた状態で内部構造を非侵襲的に観察するには適さない。そこで染色なしで弾性に関係する音響物性が得られる超音波顕微鏡の特徴を生かし,細胞内構造体の弾性率分布を動的(連続的)・非侵襲的・三次元的にサブミクロンスケールでマッピングできる計測・解析手法を開発し,高速・高精度化する。免疫反応前後における細胞内の変化を可視化・追尾し,細胞のサイトカインストームの前診断に利用できる連続観察を実現し,免疫検査への応用を目指す。
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研究実績の概要 |
仮想整合層による信号処理を提案した。本研究で利用している音響インピーダンス顕微鏡では,薄いフィルムを介したパルス超音波の送受を行うが,フィルム間の多重反射が主信号に重畳するため,時間軸上でこれを切り離す必要がある。しかし高周波用の超音波振動子は減衰振動が継続するので波形の切り離しが難しい。信号のdumpingをよくするために整合層が用いられるが,パルス波は広い周波数帯域をもつのでその設計と製作は難しい。そこで振動子の背後に整合層を置くのと同等の伝達関数をソフトウェアにより設定し,取り込み後の波形に対して適用することにより,dumpingを改善する方法を考案した。同様の方法を,主信号に先んじて到来するedge波にも適用し,時間軸上で主信号のみを正確に切り出すことを可能とした。加えて,水を結合媒体として取得した波形の平均をとる場合に特有の問題となるジッタを軽減するため,波形の相互相関にもとづいて位相をシフトさせてから平均処理を行う方法を考案した。改善を施した解析ソフトウェアを利用し,細胞が生きた状態で細胞分裂する過程を3次元音響インピーダンス顕微モードで実時間追尾観察した。核分裂前は、核の音響インピーダンスは低値を示すが,核の分裂開始後音響インピーダンスは高値を示すこと,分裂を進めながら上方に核が移動すること,3次元音響インピーダンスイメージをもとに核の分裂の進行が形態的に把握できることなどを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
測定システムは予定どおり構築され,概ね正しいと思われる測定結果が得られている。2023年度までの実験により,細胞内3次元音響インピーダンス像とその時間変化が概ね正しく表示できることが判ったため,2024年度は観察例を増やすとともに,光学顕微鏡による観察の結果との相関について議論できるデータを収集する。
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今後の研究の推進方策 |
観察例を増やすとともに,光学顕微鏡による観察の結果との相関について議論できるデータを収集する。細菌性毒素や農薬による細胞死誘導の前後で、脳内免疫細胞であるミクログリアの細胞内状態の変化を可視化・追尾する。これまでの成果をまとめて本研究を終了する。
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