研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的を以下の2つに定める。(Ⅰ)実際の拡散MRIデータおよび信号値モデルに基づき、生体組織の定量的特徴の局所的空間分布、および複数の特徴間の相関を統計的に調査する(Ⅱ) (Ⅰ)に基づいて生体の組織構造に則した学習データを合成することにより、その定量的特徴を頑健に推定する生成型X-Q空間学習の手法を確立し、既存の手法と比較して評価する
前年度までに行った脳の拡散MRIの実データおよびそのパラメタマップを用いた統計解析に基づき、生成型X-Q空間学習(Synthetic X-Q Space Learning: synXQSL)のための学習データを合成する手法を確立した。また、DKIモデルに対して合成したデータを使用して学習およびパラメタ推定処理の基礎実験を行い、synXQSLの有用性を確認した。具体的成果は以下の2つである。(1) XQ空間データ合成のためのパラメタ分布基底パターンの決定前年度までに実データより得た信号値モデルのパラメタマップの統計解析により、3×3の局所領域における各パラメタの分布が2次までの多項式に相当する基底パターンの線形結合で十分表現できることがわかった。この観察に基づき、2次までの次数の多項式表現に相当する人工的な基底パターンを決定した。また、各パラメタは独立に局所パターンを発生させることとした。(2)実際のXQ空間データ合成および学習・パラメタ推定処理の基礎実験信号値モデルの各パラメタに対する基底パターンの線形結合係数を乱数で発生させ、3×3の各位置での各パラメタ、撮像設定値(MPG強度および方向)を信号値モデルの式に代入し、ノイズを付加することでX-Q空間データの合成を行った。これは従来のsynQSLと比較して単純には9倍の計算時間を要するため、並列計算を使用したX-Q空間データ合成のソフトウェアを開発した。また、DKIモデルを例として、synXQSLの学習およびパラメタ推定の処理に関する実験を行い、合成データによる実験において従来法であるsynQSLよりも高い頑健性を得ることが示された。現在も基礎実験を継続中であり、他のモデルや学習におけるチューニングなどの詳細な検討を行っている。以上の成果は、日本医用画像工学会(JAMIT2024)にて発表予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件)
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