研究課題/領域番号 |
21K12661
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
馮 忠剛 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10332545)
|
研究分担者 |
小沢田 正 山形大学, 大学院理工学研究科, 客員教授 (10143083)
佐藤 大介 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (60536960)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | サブタイプ心筋細胞 / 心室機能野 / 複合基質 / ナノグラフェン機能材料 / 心室ECM基質 / サッブタイプ心筋細胞分化 / 心筋細胞遊走 / 物理的刺激 / ナノテクノロジー複合基質 / 機能因子徐放 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では分化誘導機能因子を徐放する柔軟性ナノグラフェン電極-心筋ECM複合基質を開発し、それをサブタイプ心筋細胞の分化プラットフォームとしてヒトiPS細胞から心房野と心室野を組織スケールで分化誘導する。そのために生物物理と生化学多要素の統合と革新を行い、心筋の発生における一次心臓領域と二次心臓領域の重要なファクターを把握し、正確な遺伝子発現を有するサブタイプ心筋細胞の迅速な分化と成熟を実現する。更に心臓発生ルーピング過程の模擬によりサブタイプ心筋細胞の“無損傷的”純化・分離法を提示する。この独創的な再生心組織体外形成法は心筋再生医療における喫緊な課題を解決できる強力かつ高度な技術になる。
|
研究実績の概要 |
本年度は研究計画に従って、下記の研究内容を行い実績を得た。1.ヒトiPS細胞を心筋細胞に分化させる度に機能因子として多価不飽和脂肪酸のドコサヘキサエン酸及びアラキドン酸を培養系に添加し、分化心筋細胞クラスター形成の誘発や心室野にシフトする傾向を確認した。有限要素分析法を用いて心筋細胞クラスターの形成が3D再生心組織の拍動力における影響を分析した。2.分化培養するためのプラットフォームをコラーゲンと抽出した心室細胞外基質で構成し、分化培養を行った。また、上記ゲルの機械的強度を調整するためゲニピン架橋を利用または機械的にゲルを圧縮した。力学特性について再生組織の粘弾性特性の影響を注目し、応力弛緩を有するゲルのうち、 中程度の弾性率(25.0ー60.0 [kPa])を有するゲル上で細胞の生着と細胞体の伸展を促進することが確認できた。また、動的拍動解析方法について、測定梁を片持ち梁と考え、運動方程式やモーメントのつり合いから拍動変位測定によって得られた変位データを用いて、時間ごとの収縮力波形を導出することに成功した。この動的な分析の結果は分化心筋細胞の拍動機能の未成熟と心室細胞外基質の心室筋細胞分化促進に対する有用性を示唆した。3.動的ひずみと電気刺激を印加できるバイオリアクターを改良し、特に柔軟性と弾性を有するナノグラフェン電極を用いることで分化心筋細胞の電気誘導遊走現象を確認され、サブタイプ心筋細胞による心筋組織機能野の構成に寄与した。また、ゲル中に細胞の3D観察と計測を行い、電気刺激により細胞が電場方向と垂直する方向に配向する傾向を発見した。上記の実験結果は来年度に予定している電気刺激が心臓一次領域および二次領域形成に関する検討および心室野と心房野との統合プラットフォームの創出に重要な知見を得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響により、試薬生産・輸送の遅れが生じたため、予定していたヒトiPS-eGFP細胞株の樹立は実施できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
1.創出する心房野・心室野を有する再生心組織を完成した一次および二次心臓領域分化模擬プラットフォームを一つの培養システムに統合する。 2.この培養システムにおいて心房細動/心室細動疾患を再現し、その創薬スクリーニングへの応用を展開する。
|