研究課題/領域番号 |
21K12662
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
佐久間 洋志 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (40375522)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 永久磁石 / 有限要素法 / 位置制御 / 進化的計算 / 磁性微粒子 / 最適化 |
研究開始時の研究の概要 |
磁場により磁性微粒子の位置を3次元的に制御する技術は,PCR法の高効率化・高機能化や磁気ドラッグデリバリーの実用化に役立つと考えられるが,未だ確立されたとは言い難い.その根底にはアーンショウの定理が示す,磁場制御の難しさがあると考えられる.本研究ではその問題を回避しつつ,改良型のローラー型永久磁石式磁場源を用いて磁場を巧みに調整することにより,溶液中の磁性微粒子を3次元的に制御する技術を確立することを目的とする.磁場の設計には,人工知能の一分野である進化的計算を用い,人間の経験や直感に頼らない最適化計算を行う.
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研究実績の概要 |
永久磁石に砂鉄やクリップなどの磁性体が引き付けられる現象は誰でも知っているが,逆に永久磁石から遠ざかる現象を目にすることは少ない.N極とN極は互いに退け合うが,向きが固定されていなければ容易に反転して,N極とS極が引き付け合ってしまうからである.しかし,複数の永久磁石や電磁石を用いて磁場をうまくコントロールすると,磁性体を磁石から遠ざけることもできる.これまでの報告の多くは,シャーレなどを用いて磁性体の動きを2次元に制限して位置制御を行うものであった.また,3次元であっても多数の電磁石や永久磁石を用いるものであった.本研究では,本質的にエネルギーの消費がない,少数の永久磁石を用いて,磁性体を3次元的に制御することを目的とする. 令和3年度においては,永久磁石を用いた磁場発生装置と,2つのビデオカメラを用いて磁性体の3次元的な位置を測定する装置を製作した.また,ある磁石を回転させた場合に磁性体がどの方向に回転し,どの方向に移動するのかを計算により系統的に調べた. 令和4年度においては,これらの装置と計算により得られた知見を用いて磁性体の位置を制御する実験を行った.まず,スライム中に置いた磁性体を磁場制御装置の真上で静止させる実験を行ったところ,狙い通りにフィードバック制御が働き,開始後しばらくすると位置が安定することを確認した.続いて,正四面体や円といった任意の経路を一定の速度で移動させる実験を行った.フィードバックの効き具合やスライムの粘度を調整することにより,任意の経路を動かすことが可能となった. 令和5年度においては,永久磁石の角度と磁性体に働く磁力の関係を有限要素法により再確認し,実証実験を行った.また,この原理で制御可能な位置の範囲を実験的に明らかにし,論文にまとめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度においては,3次元磁場シミュレータを導入し,磁石角度が与えられた場合の周辺の磁場の計算と,ある位置に任意の磁場を発生させるための磁石角度を進化的計算により求める手法を確立した.また,ある磁石を回転させた場合に磁性体がどの方向に回転し,どの方向に移動するのか,系統的に調べた.続いて永久磁石を用いた磁場発生装置と,2つのビデオカメラを用いて磁性体の3次元的な位置を測定する装置を製作した. 令和4年度においては,これらの装置を用いて,磁性体の位置制御を試みたところ,条件はあるものの特定の位置に留まらせたり,任意の経路を移動させるといった制御に成功した. 令和5年度においては,永久磁石の角度と磁性体に働く磁力の関係を3次元磁場シミュレータにより再確認し,実証実験を行った.また,この原理で制御可能な位置の範囲を実験的に明らかにし,論文にまとめた.以上のように,本研究はおおむね計画通りに進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度までに,永久磁石による磁性体の位置制御の原理を整理し,実験結果とともに論文にまとめた.令和6年度においては,進化的計算による磁場制御用永久磁石の角度最適化や制御範囲の拡大に取り組む予定である.また,制御速度を向上させるために,GPUやFPGAを実装したプロセッサーを導入する予定である.
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