研究課題/領域番号 |
21K12671
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
牛久 智加良 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10338874)
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研究分担者 |
田中 賢 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (00322850)
穴田 貴久 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (30398466)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 高分子修飾 / ポリ(2-メトキシエチルアクリレート) / 骨結合性 / osseointegration / 中間水コンセプト / Osseointegration / 中間水 / 高分子 / 金属製インプラント |
研究開始時の研究の概要 |
骨折治療手術などで汎用される金属製インプラントは、即時的な一次固定と漸次的な二次固定によって、骨との間に強固に骨性結合(ossointegration)される。本研究では、金属製インプラントの化学的表面修飾によって骨との接着性を向上して初期固定と二次固定の両方を促進させる金属製インプラント表面の高分子修飾法を開発することを目的とする。本研究は金属製インプラント表面における骨再生効果を時間軸で捉え、二種類の高分子表面修飾による即時、漸次の二期的な骨性結合(osseointegration)の促進を誘導する画期的手法を提案する。
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研究実績の概要 |
2-メトキシエチルアクリレートを用いた可逆的付加-開裂連鎖移動重合(Reversible Addition-Fragmentation Chain Transfer Polymerization, RAFT重合)により高分子ポリ(2-メトキシエチルアクリレート; PMEA)を作成することができ、10nm-100nmの範囲で適切な膜圧でナノ高分子コーティング法によるPMEA修飾純チタン製円柱の作製に成功した。PMEA修飾純チタン製円柱は、良好な骨性結合を獲得できることが予備実験から分かり、研究目的についてPMEA単独修飾金属の骨結合性評価をすることと修正した。2022年度までに、PMEA修飾純チタン製円柱を大腿骨骨幹端部への設置する研究を進め、力学試験(push in test)、組織学的骨形態計測をこれまでに済ませた。抗血栓性を有するPMEAのnegative controlとして高分子ポリ(butyl acrylate; PBA)修飾純チタン製円柱を本研究に用いた。PMEA、PBA、純チタン(cpTi)の3群で骨結合性を比較すると、Bone to implant contact(BIC) 4w:PMEA 38%、PBA 27%、cpTi 18%(p<0.05)、push in test 4w:PMEA 17.2N、PBA 11.1N、cpTi 11.1N(p<0.05)、8w:PMEA 25.7N、PBA 15.8N、cpTi 13.7N(p<0.05) という結果を得られ、PMEA修飾純チタン製円柱を大腿骨骨幹端部に設置すると、4週目以降に良好な骨結合性を得られることがBIC、push in test結果から判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の位置付けは、PMEA修飾金属の骨結合性をin vivoで解析することである。これまでにPMEA修飾純チタン製円柱の作製に成功し、その骨結合性について力学試験と組織学的骨形態計測で評価することができ、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。現在は、これまでと異なるタイムポイントでの上記評価を進めている。当初の研究計画から修正した点は円柱設置位置で、当初脛骨を予定していたが、サイズの問題から大腿骨骨幹端部に設置位置を変更した。十分に解析できることをこれまでに確認し、現在はこの位置での実験を進めている。また放射線学的解析について、これまでの試みでは金属によるハレーションの除去に難渋し、その点については進捗を得られておらず今後の課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画について、①8wまでの組織学的評価②12wまでのpush in test③放射線学的解析の確立 を予定している。①、②についてはこれまでに確立した実験手法で成果を得られると考えている。一方③について、金属のハレーション除去を目的として、検体採取時に金属を抜去して評価する方法を基本的には検討している。しかし抜去とともに生じる周囲の骨破壊がどのようにあるかを精査し、その方法を検討する予定である。
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