研究課題/領域番号 |
21K12673
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
水上 喜久 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (30756698)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドβ / 認知症モデルマウス / 細胞移植療法 / 免疫細胞 / ニューロン新生 / ミクログリア / リーリン / メトホルミン |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病(AD)は、神経細胞の脱落によって情報伝達に障害が生じる進行性の中枢神経疾患である。現在は、対症療法によって進行を遅らせる薬物療法のみであり、根治療法の開発が望まれている。 これまでに、認知症モデルマウスにヒトiPS細胞由来の神経幹細胞を移植することで、その認知機能の改善に成功してきた。本研究では、認知症モデルマウスへの細胞移植療法において、(1)移植細胞のコリン作動性ニューロンへの効率的な分化、(2)移植細胞によるパラクライン効果、(3)ホスト脳内のニューロン新生の亢進、のそれぞれを最適化し、組み合わせることによって、認知症の予防と根治を目指す。
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研究実績の概要 |
アルツハイマー病(Alzheimer's disease: AD)は、造血幹細胞の異常によって一系統以上の骨髄性細胞のクロ―ナルな増殖をきたす血液疾患である。近年、レカネマブを代表とするアミロイドβに対する抗体が開発され、従来までに開発された薬剤に比べて、患者の認知症の進行を緩和させることが報告された。レカネマブなどの抗体は、アミロイドβが凝集する前段階で取り除くことで神経細胞が壊れるのを防ぎ、認知症の進行を抑えることを目的としている。 しかし、これらの治療法にはいくつかの問題がある。はじめに、死滅した神経細胞の再生はできないため、進行性の神経疾患であるADの根治には至らない。また、抗体を投与した患者の一部において、脳血管浮腫などの副作用が原因とされる死亡例が報告されており、安全性の面からみても疑問視されている。さらに、AD発症前の「軽度認知障害」の段階や発症後、早期に投与することが重要視されていることからも、長期投与による経済的な問題からも現実的ではない。以上のことから、AD発症メカニズムの理解に基づき、完治を目指す新たな治療戦略の開発が望まれている。 本研究課題では、ADについて、未だ明らかにされていない脳内におけるアミロイドβと免疫細胞との関わりを明らかにすると共に、これまでに我々が確立した移植療法による神経細胞の補填による新規治療法の開発を目的としている。 本年度は、ADモデルマウスを用いて、老化に伴う免疫細胞の浸潤の変化を解析した。さらに、ADモデルマウス脳内において免疫細胞との関連が予想されるケモカイン群の解析をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ADにおける脳内の免疫細胞については、未だ不明な点が多い。また、細胞移植療法をおこなうにあたり、脳内における移植後の免疫拒絶について理解することも踏まえて、ADモデルマウス脳内における免疫細胞について明らかにすることが重要であると考えた。はじめに、多くの免疫細胞に共通してみられるCD45に着目した。認知症の症状がみられることをモリス水迷路によって、野生型に比べて認知機能の低下がみられるADモデルマウスを選別した。このADモデルマウスの脳を環流後、固定し凍結切片を作成し、DAB発色による免疫組織染色をおこなった。このとき野生型マウスの脳をコントロールとして用いた。その結果、野生型ではほとんどCD45+なシグナルがみられないのに対して、ADモデルマウスでは、特に海馬においてCD45+な免疫細胞の浸潤がみられた。同時に染色したアミロイドβについても同様で、主にADモデルマウスの海馬においてアミロイドβの沈着が多数みられたのに対して、野生型ではほとんど見られないことを確認した。このことから、アミロイドβに対して免疫細胞が浸潤していることが明らかとなった。次に、どのような免疫細胞が浸潤しているかを明らかにするために、CD3, CD4, CD8, CD11b, B220に対する抗体を用いて蛍光染色をおこなったところ、CD11b陽性の細胞がアミロイドβへ浸潤する様子が認められた。CD3をはじめとするリンパ球の浸潤は認められなかった。以上から、アミロイドβへの免疫反応は主に脳内におけるミクログリアによるものであることが確認できた。さらに、アストログリアとアミロイドβの共染色においても、アストログリアの浸潤が認められた。野生型ではアストログリアが認められたが、その大きさはADモデルマウスよりも大きい形態示すなどの違いが見られた。
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今後の研究の推進方策 |
近年、認知症は複合的な原因による神経疾患であることを示唆する報告が多くなっている。実際に、肥満、糖尿病、高血圧などが認知症と相関していることが知られている。 脳内における免疫細胞について、アミロイドβへの免疫反応の長期化に伴い、慢性炎症が引き起こす免疫細胞の疲弊や老化が起きていることが報告されている。脳内の炎症を抑えることができなければ、移植療法によって補填した神経細胞の生着ならびに機能が失われてしまうことが懸念される。そこで、脳内環境の改善を目的として、メトフォルミン投与によって、脳内における免疫細胞への影響、ならびに脳内における炎症を緩和することが可能か検討する。
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