研究課題
基盤研究(C)
メタボローム解析では、内部標準物質に対する相対値を用いて評価することが多いものの、内部標準物質相対補正では、施設・機器の違いや分析間隔が空いた場合の影響が大きいという問題に直面している。そこで本研究では、メタボローム解析における分析誤差の原因を追究するとともに、その検証結果に基づいて、内部標準物質相対補正よりも性能がいい、新たな代謝物分析法を開発する。
令和4年度は、令和3年度に引き続き、血漿代謝物分析における変動要因解析と代謝物グループ化の検討を進めた。ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)と液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)による分析を実施し、そのデータの評価を進めたが、特に、GC/MSによる分析結果をより詳細に検証した。GC/MS分析では特に、3台別々のGC/MSを用いて同じヒト血漿検体の分析を同条件により行い、その分析結果を統合して解析することで、施設間における分析誤差について評価した。その結果、1種類の内部標準物質による補正をするだけでは、施設間RSD%が20%以下の代謝物は、検出された代謝物の5~6割程度であった。そこで施設間誤差の結果に基づいて、同じような誤差挙動を示す代謝物をグループ化し、各グループに対する内部標準物質を準備して、同グループ内の内部標準物質も用いて補正することで施設間RSD%がどうなるかを検討した。その結果、施設間RSD%が20%以下の代謝物は、検出された代謝物の8割以上になることが明らかになった。今回の評価では、どのような代謝物の種類が施設間誤差が出やすいのかなどのデータも取得することができ、このデータも新たに選択する内部標準物質の評価に生かすことができた。これらの結果は、血漿代謝物分析における変動要因を踏まえてデータ補正の方法を構築することで、より安定した代謝物分析を行うことができるということを示しており、引き続き、施設間分析誤差の評価と新たなデータ補正法の構築を進めていく。
3: やや遅れている
令和4年度に所属機関が変更となったことで、一時期、研究の進捗が遅れてしまったが、データ解析などを中心に実施することで、ある程度、順調に研究を進めることができる体制をとることができた。
令和4年度には、GC/MS分析とLC/MS分析で得られたデータを用いて施設間分析誤差の検証を進めることができたことから、引き続き、施設間分析誤差について検討するとともに、そのデータに基づいたデータ補正法の構築を進め、実検体の分析ができる体制を整えていく。
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Fermentation
巻: 9 号: 3 ページ: 300-300
10.3390/fermentation9030300
Anticancer Res.
巻: 43 号: 5 ページ: 1981-1984
10.21873/anticanres.16358
Metabolites
巻: 12(2) 号: 2 ページ: 135-135
10.3390/metabo12020135