研究課題/領域番号 |
21K12680
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
辻 陽介 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (20735592)
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研究分担者 |
藤澤 彩乃 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (10624885)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ハイドロゲル / ダブルルーメンカテーテル / ゲル化時間 / 潰瘍保護 / 血管新生 / 炎症細胞浸潤 / 穿孔予防 |
研究開始時の研究の概要 |
消化管の腫瘍に対する内視鏡治療は本邦のお家芸とも言える治療手技である。しかしその治療後には穿孔や出血などの合併症が発生するため、合併症を予防する事が喫緊の課題である。我々は本学発の硬さや反応速度を自在に設定できるゲルで潰瘍保護剤を作成し、内視鏡治療後の人工潰瘍を保護することで内視鏡治療後の合併症を減らしたいと考えている。
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研究実績の概要 |
本研究では、本学発の物性制御が自在であるハイドロゲル、Tetra-PEGゲルを用いて内視鏡治療後の消化管潰瘍の新規被覆剤を作り上げることを目標としてい る。本ハイドロゲルは2種類のゾルを散布し混合させてゲル化させるものであるが、特に昨年度までにおいてはこのゲル専用のカテーテルがないため、代替品を用いていたことからゲル本来の性能(特にゲル化時間)を達成できないことが多く、この解決が課題となっていた。
昨年度、生体ブタに全身麻酔下で内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行し胃潰瘍を複数作成し、その潰瘍底に改良したダブルルーメンカテーテルを用いて、Tetra-PEGゲル、より瞬時にゲル化し組織接着性を高めたoligo-Tetra-PEGゲルの2種を散布し1週間後の経過を観察した実験を行い、oligo-Tetra-PEGゲルについてはスムーズな吐出が可能であったが、Tetra-PEGゲルについてはゲル化時間が早すぎたことからカテーテル吐出口にゲルがくっついてしまうという状況であった。
そのため、今年度はさらに生体ブタによる実験を重ねて行った。同様に胃内に内視鏡的に潰瘍を作成し、oligo-Tetra-PEGゲル、Tetra-PEGゲルを散布した。今回は、ゲルの物性の調整に成功し、潰瘍底に両ゲルを確実に散布し、潰瘍底で即時にゲル化させることに成功した。ゲル化直後の状況では、oligo-gelの方が柔らかく潰瘍形態に準じてしっかりはまり込んでいる印象であった。1週間後に胃を摘出し潰瘍底を観察したところ、両ゲル散布後ともに穿孔は生じていなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2剤を混合し瞬時にゲル化させるTetra-PEGゲルを胃内に内視鏡的に散布するためのダブルルーメンカテーテルについて、概ね満足のいくものが完成し、実際に生体ブタの胃内に内視鏡的に作成した人工潰瘍に対しゲル散布ならびに潰瘍被覆ができることを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
病理学的解析により、Tetra-PEGゲル、oligo-Tetra-PEGゲル散布後の潰瘍底の治癒過程にどのような差があるかを解析し、どちらが消化管潰瘍被覆剤として適するものかを明らかにする。
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