研究課題/領域番号 |
21K12702
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
松澤 等 新潟大学, 脳研究所, 非常勤講師 (70303170)
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研究分担者 |
杉山 拓 北海道大学, 大学病院, 講師 (70748863)
浦川 貴朗 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (90770222)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 人工知能 / MRI / 教師無し学習 / 異常検知 / 深層学習 |
研究開始時の研究の概要 |
人工知能を用いて疾患脳のMRI画像を診断分類する試みは既に多く行われている。申請者らは、新しい試みとして、“教師なし異常検知”(Unsupervised Anomaly Detection)を臨床画像の学習に適用し、学習時は健常者画像のみを使うことで“健常脳の特徴分布”を学習し、学習の完了時には、その分布から外れているものを“異常、疾患脳”と判断するような人工知能をめざす新しいアプローチである。
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研究実績の概要 |
申請者らは、“教師なし異常検知”(Unsupervised Anomaly Detection)を臨床画像の学習に適用し、学習時は健常者画像のみを使うことで“健常脳の特徴分 布”を学習し、学習の完了時には、その分布から外れているものを“異常、疾患脳”と判断するような人工知能をめざす新しいアプローチを目指している。 正常例のMR画像を用いて敵対生成ネットワークの学習訓練を安定しておこなうAIネットワークの構築を試み、幾種類かの敵対生成ネットワークのうち、DCGAN(Deep Convolutional GAN)、BEGAN (Boundary Equilibrium GAN)、Efficient-GANの三種について安定して学習が収束する様な実装を試すことで、特にBEGANについて安定した収束を実現することを確認できた。 令和4年度には三つあるネットワーク候補のうち残りの2つ、DCGANとEfficient-GANについて、比較的特徴のはっきりしたデータ(以後「toy problem」と呼称する)について、安定収束の実現を目指した。特にEfficient-GANは、理論的には高速な処理が可能であるが、実際の臨床MRIデータについて実用的な安定度、実用的な収束結果が得られるかを検討した。 結果、DCGANは今回用いたtoy problemを用いても不安定であった。また、Efficient-GANについては、安定収束の実現と、高速な画像出力の実現を同時に実現するバランスが必要である事が確認できた。 以上の事実を踏まえ、令和5年度には最終的に採用するネットワークを選択すべく、(1)安定収束すること(2)画像出力に時間がかからないこと、の2点を各敵対生成ネットワークについて検証することとしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床に有用な敵対生成ネットワークに必要な条件とは、特に実際の臨床MRI画像を用いた系について、「安定した収束を見ること」と「高速に画像出力ができること」の二つの条件が必須であることが明らかになってきている、このことを鑑み、今までに検討してきたDCGAN, BEGAN, efficient-GAN, 更にはその他の敵対生成ネットワークについても並行して検証実験を継続してきた。 特にEfficient-GANは、理論的には高速な処理が可能であるが、実際の臨床MRIデータについてその安定性に関して引き続き改善が必要であった。また、出力画像に関してもまだその質が不十分である。 さらに、他に特徴のある幾つかの敵対生成ネットワーク、AnoGAN、 ADGAN、GANomaly等を検討ネットワークに加えており、より臨床応用に適した系を模索している。 しかしながら、少なくともBEGANについて、安定収束は確認できているので、計画全体の進行としては概ね順調に進展しているといえる。1年延長した最終年度には、三つあるネットワーク候補の評価の結果を鑑み最良のネットワークについて臨床データを用いた報告の完成を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
1年延長した最終年度である令和6年度には、検証してきた複数の敵対生成ネットワークについて、「安定した収束を見ること」と「高速に画像出力ができること」の二つの条件を最大限に両立できるように検証を更に進める。 特徴空間における正常画像と異常画像の分布間のマハラノビス距離などのインデックスの高速な計測を目指す事で、実際の臨床画像について、安定してかつ高速に異常画像の検知をおこなうためのシステムの完成を目指す。 これらが順調に成功した時は、さらなる発展部分として、特徴空間において正常例と大きく距離を隔てる原因となっ ている「画像の異常部分」の可視化をめざす。
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