研究課題/領域番号 |
21K12707
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 宮崎大学 (2022) 熊本大学 (2021) |
研究代表者 |
内山 良一 宮崎大学, 工学部, 教授 (50325172)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | Radiomics / Radiogenomics / Medical AI / Radionics / Computer-aided diagnosis / 人工知能 |
研究開始時の研究の概要 |
画像所見がどのような病理・病態を反映しているのかの研究は進んでいるが,画像所見と分子・遺伝学的背景の理解は進んでいない.本研究では,遺伝子解析に基づく個別化医療の進展を念頭に,データ中心アプローチを用いて,がんの『遺伝型』と『表現型』の関係を分析する手法を構築する.また,それらの関係を人工知能(AI)で学習することによって,患者群の層別化を行い,アウトカムが最大となる診断・治療の一体化を支援するAIシステムを構築する.
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研究実績の概要 |
これまでに,脳腫瘍の分子分類を行うRadiomics研究を進めてきた.病変の形状やテクスチャなどの表現型から1p19q共欠失を推定する手法を開発してきたが,その推定結果をどのように医師に提示すれば,意思決定に役立つかという検討は行っていなかった.そこで本年度は意思決定支援に関する研究を行った.病変の検出では,コンピュータが指摘した場所に病変が存在すればコンピュータが出力した結果が正しいと理解することができる.しかし,画像所見から病変の遺伝型を推定するシステムでは,コンピュータの結果が正しいかどうかを判断することが難しい.がんゲノム医療では,様々な検査結果と治療法の検討を行うゲノムキャンサーボードと呼ぶ会議が行われ,その結果が患者に開示される.治療方針の決定は,医師の裁量権と患者の選択権の兼ね合いで決められるため,この会議で必要なA I技術は,様々なデータを可視化して患者の治療方針を検討する意思決定の支援ツールであると考えられる.この課題に関して,データの分析結果を可視化し,対話操作などを組み合わせることによって,可視化結果から統合的な知見を引き出すVisual Analyticsと呼ぶ考え方が存在する.これはA I自身が判断をするのではなく,A Iはあくまで人の判断を助ける情報提示の技術という考え方である.本年度は,Visual Analyticsの考え方を参考に,AIのユーザがデータを理解して問題を解決するユーザ主導型の意思決定支援ツールの要素技術の開発を行った.データ分布を可視化して過去の類似症例の表示に応用できる多次元尺度構成法,患者にも理解できるように診断確率を表示するロジスティック回帰,A Iが何故そのように判断したのかの根拠が可視化できるノモグラムの手法をそれぞれ構築する成果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画よりも速いペースで研究が進捗しているため,より発展した内容の研究も進めることができている.本年度は,これまでのRadiomics研究で開発した手法をCOVID-19の重篤化予測に応用する研究を行った.COVID-19の感染で入院して最初に撮影したポータブル胸部X線写真を100症例用いて実験を行った.肺野領域からRadiomics特徴量を計測し,重篤化と非重篤化を区別するために有用なRadiomics特徴量をLassoによって選択した後,それらを入力としたサポートベクタマシンによって,重篤化を予測した.感度は90.9%,特異度は95.6%の成果を得た.この研究は,日本放射線技術学会総会学術大会において,CyPos Bronze Awardを受賞している.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画は,ほぼ実行できていることから,研究計画よりもさらに一歩先に進めた研究や当該分野を体系づける関連研究も含めて研究を進める予定である.
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