研究課題/領域番号 |
21K12709
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 大阪物療大学 (2022) 北海道科学大学 (2021) |
研究代表者 |
島雄 大介 大阪物療大学, 保健医療学部, 教授 (20404907)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 屈折コントラスト / CT / 病理標本 |
研究開始時の研究の概要 |
X線の屈折を画像コントラストとする屈折コントラスト画像法は、従来のX線の吸収を画像コントラストとするものと比べ、約1000倍の感度が得られることが明らかとなっている。 近年、この屈折コントラスト画像法を病理診断に利用しようとする研究が進められている。しかし、病理診断への利用に向けては現状10μmを切る空間解像度が求められる。 本研究では、高解像度・高安定性を実現する吊り下げ式のアナライザを提案し、10μmを切る空間解像度の屈折コントラストCT像が得られる撮影システムの開発を目指す。これが実現できれば、屈折コントラストCT像を利用した‘3次元X線病理診断学’の創設を提唱できるであろう。
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研究実績の概要 |
2022年度の研究実施計画は、①前半:各種改良型アナライザのデザインと作製(学内にて)、②後半:各種改良型アナライザの動作実験と検証(高エネルギー加速器研究機構にて)としていた。昨年度までに、研磨斑が無く均一視野が得られる100ミクロン厚のアナライザが完成し、2022年3月中旬のマシンタイムで、このアナライザの回折強度曲線の取得に成功していることから、①に沿ってアナライザを改良するのではなく、前半はアナライザを安定に設置するための治具を開発することとした。 アルミバーで抑えるタイプ、消しゴムを整形して固定具とするタイプを考案して試したが、安定はするが接触による歪が残ってしまうものとなってしまった。そこで、アナライザ結晶との接触部に5mm角程度としたクッションテープを用い接触圧を抑えることで歪の除去を実現しつつも、CT撮影が可能な3~4時間程度の安定性を確保することが可能となった。 その後、後半の②を進めることを目的に、病理試料(前立腺)を撮影試料として屈折コントラストCT撮影を行い、X線カメラで得られる視野サイズ(15 mm×20 mm)全面でアナライザによる画像斑のない均一なCT画像を得ることに成功した。このCT画像では、前立腺組織内の上皮細胞、腺管、腺腔、尿道、微小結石等が描出され、染色した病理像に迫るものであった。 コントラストは十分なものであるが、さらに空間解像度が向上すれば、病理像に匹敵する屈折コントラスト像が得られるであろうという望みがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、今年度までにオリジナルデザインの薄いぶら下げ型アナライザとアナライザ固定用冶具を完成し、病理組織の高空間解像度・高コントラスト像の撮影に成功している。残すは、さらなる安定化と高空間解像度化のもと、各種病理組織の撮影となる。これらは当初設定していた最終年度の計画にそのものとなるため、「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
当初の2023年度の研究実施計画では、通年で高エネルギー加速器研究機構にて最終型アナライザによる各種病理試料の撮影実験としていた。これまでの成果からは、安定化を維持しつつさらなる高空間解像度化も新たな課題として見えてきた。今後は、これらを検討しながら、各種病理試料の撮影を行っていく。具体的には、①アナライザをさらに薄くして現状の100ミクロンから60ミクロンほどまで薄化を図る、②被写体-アナライザ-カメラ間距離の最短化を図る、の2点で高空間解像度化を図ることを計画している。 これらにより完成した高空間解像度屈折コントラストCT撮影システムにより各種病理試料を撮影して、従来の屈折コントラストCT像で描出されている構造物との描出能の違いを検証し、高空間解像度屈折コントラストCT撮影システムの有用性を明らかにする方針である。
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