研究課題/領域番号 |
21K12713
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
渡邉 学 東邦大学, 医学部, 教授 (30297709)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 7T-MRI / 癌造影 / ブドウ糖・ガドペント酸メグルミン / ブドウ糖・ガドブトロール / フォトカウンティングCT / テルル化カドミウム / CdTeアレー / ガドリニウムKエッジCT / ブドウ糖・ガドキセト酸ナトリウム / フォトンカウンティングCT / ガドリニウムKエッジCT / フォトンカウンティングX線CT / 分子イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
低濃度のMRI用ガドリニウム(Gd)系造影剤を使って新生血管が豊富な癌増殖領域は造影できるが,低酸素領域の描出は難しい。 そこで、本研究では,①ブドウ糖,低濃度MRI用造影剤,そして7T-MRIを利用する高い空間・コントラスト分解能の新しい癌の分子イメージング法を開発すること,②低酸素領域の癌を描出すること,③テルル化カドミウムアレーや新しいフォトンカウンティング素子を使って0.1mm程度の空間分解能で癌部位を描出すること,そして④7T-MRIとエネルギー弁別CTにより得られた画像をマルチモーダル的に利用することを目的としている。
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研究実績の概要 |
●生理食塩水・ガドプトロールによる造影: 大腿部にVX7癌が生着したウサギの耳からガドプトロール0.3 mLを含む10mLの生理食塩水・ガドブトロール溶液を静脈注射し,注射後10,30,60,90分後にT1WIにより癌部位を撮影した。 ●ブドウ糖・ガドプトロールによる造影: 生理食塩水・ガドブトロール溶液による造影から24時間以上経過した後,ガドプトロール0.3 mLを含む50.3mLのブドウ糖・ガドブトロール溶液をウサギの耳から約10分かけて点滴し,点滴後10,30,60,90分後にT1WIにより癌部位を撮影した。 ●生理食塩水・ガドブトロール溶液を使ったT1WIでは静脈注射後10分で癌部位の信号強度は最大となり,時間の経過とともに信号強度が減弱した。一方,ブドウ糖・ガドブトロール溶液を点滴した際には,時間の経過よる信号強度の変化はほとんど無く,造影時間は90分以上であった。 ●CdTeアレーを用いたトリプルエネルギーX線CTスキャナーの構築: ピクセルサイズが0.1mmのCdTeアレー,0.1mmフォーカスX線管,ターンテーブル等を組み合わせて空間分解能が0.1mm以下のトリプルエネルギーX線CTスキャナーを構築した。回転ステップと総回転角はそれぞれ0.5°と360°で,720ファイルのRaw画像から断層像が再構成された。ここで,33と50keVはIとGdのKエッジエネルギーで,I-Kエッジ撮影では33-50と33-100keV,Gd-Kエッジ撮影では50-100keVの範囲のフォトンを利用して撮影し,良好な画像を得ることができた。さらにエネルギー分解能を補正するためのプログラムを開発し,Kエッジ撮影における血管のコントラストが改善された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブドウ糖・ガドブトロール溶液と7T-MRIを使ったVX7癌の造影では,点滴後の癌造影時間が90分以上であり,じゅうぶんに人体における癌造影に応用できることがわかった。ガドペント酸メグルミン造影剤と比較して,血中のGd濃度は半分になったが,造影効果はほとんど低下することはなかったため,さらに低いGd濃度でも癌造影は可能であると思われる。 CdTeアレーを使った臨床用PCCTは近年実用化されたが,それほどエネルギー弁別の効果は無いように思える。また本研究におけるPCCTの空間分解能は0.1mm以下であり,KエッジCTにより微小血管が高コントラストで描出できることから,癌の新生血管も造影できると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には先ず2022年度の研究計画の通りに再度造影実験を行ない,ブドウ糖・ガドブトロール溶液の造影効果を再確認する。次いで,投与するブドウ糖分子数を一定にした際のブドウ糖溶液濃度による信号強度の変化を観察し,造影に利用できるガドブトロールの最低濃度などを検討する。 CdTeアレーを使ったPCCTでは,2022年度に構築したエネルギー弁別プログラムのPCCTへの有効利用,加えて位相コントラスト画像に似ているエンボスCT法を組み合わせてコントラスト分解能を最大の1.0にすることにより,癌の新生血管の描出を試みるつもりである。
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