研究課題/領域番号 |
21K12735
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 神奈川工科大学 (2022-2023) 帝京平成大学 (2021) |
研究代表者 |
金 大永 神奈川工科大学, 健康医療科学部, 教授 (60461860)
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研究分担者 |
小林 英津子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20345268)
李 鍾昊 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (40425682)
福島 亮治 帝京大学, 医学部, 教授 (50228897)
月原 弘之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (50431862)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 外科支援デバイス / 鉗子操作誘導 / 能動的制限制御 / 干渉装置 / ネガティブフィードバック / 臓器損傷防止 / 把持力計測 / 鉗子マニピュレータ / 腹腔鏡下手術 |
研究開始時の研究の概要 |
腹腔鏡下手術において、経験の少ない医者やロボットには手術での状況判断が難しく、鉗子の操作や臓器の移動によって臓器を傷つける恐れがある。そこで研究代表者らは、鉗子や内視鏡の画像などから得られた情報を用いてネガティブフィードバック制御を行うことで、安全な手術手技へと誘導するシステムを提案する。鉗子の位置推定と血管ナビゲーションのデータを基にし、鉗子が動く際に「鉗子の危険な操作が回避可能な臓器損傷防止を目的としたトロッカ型操作誘導装置の開発」を目的とする。具体的には、①鉗子操作誘導の為の3自由度のトロッカ型干渉・誘導装置の開発、②鉗子と血管ナビゲーションの統合、③熟練度の定性的・定量的評価を行う。
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研究実績の概要 |
前年度の制限機構に対しての課題は、空圧駆動による制限力の限界であった。2023年度は、モータ・ワイヤ駆動による制限を試みた。把持機構は13(直径)×90(高さ)〔mm〕、32gfの小型である。把持力及び応答性の計測では把持力8.5±1.9N、応答までの時間が0.39±0.08secという結果であった。装置は軽量であり、デバイスによる制限を感覚的に分かるものの、その有効性の定量化は今後の課題つなった。 内視鏡の画像などから得られた視覚情報を用いて安全な手術へと誘導するトロッカ型操作誘導装置の開発に向けて「システム操作の熟練度やスキルアップを定量的に評価する」実験系と評価方法を確立した。具体的には、鉗子の位置推定と血管ナビゲーションのデータに基づいて血管や臓器の傷つけない鉗子先端の経路を、等速度で誘導する指標追跡課題を行う実験系を導入した。そして、血管や臓器の傷つけない鉗子先端の経路を、等速度で誘導する指標追跡課題を行う実験系において高齢者と若者の被験者に対する検証実験の結果を国際学会(ITC-CSCC2023)で発表した。また、利き手と非利き手の間のシステム操作の熟練度の差を、脳の代表的な運動学習理論であるフィードバック誤差学習理論に基づいて定量的に比較した結果を英語論文としてまとめて報告した(Sensors; impact factor =3.9)。 内視鏡画像を用いた鉗子の位置姿勢推定手法について、これまで 深層学習を用いた単眼カメラによる、鉗子位置姿勢計測法を提案し精度評価を実施してきたが、十分な計測精度が得られなかった。そこで、エンコーダパターンを有するマーカを鉗子に張り付け、ステレオカメラを用い位置姿勢計測手法を新たに提案し、プログラムの実装を行った。今後は精度評価実験実施し有用性検証を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年目の2022年度に代表者の所属研究機関に移動があり、少し遅れが出てしまった。その後は概ね計画通りに進んでおり、そのずれが残っているためである。 トロッカ型の鉗子制限機構に関しては、制限のために使われる力が数十Nと大きく、空圧駆動では十分な制限力には及ばない。機構的な解決を試みたが、納得のいく成果が出なかった。また、トロッカを中心に回転運動をするため、かなりの応答性も必要であると思われる。 試みた研究グループでのシステムの統一は、進行中である。 学習能力の定量的評価に関しては予定通りの成果が出ている。特に、両手を協調制御して使用する外科医の動作に着目し、利き腕での操作と利き腕ではない手での操作を比較し、論文としてまとめられたのは予想してなかった展開であった。 エンコーダパターンを有するマーカを鉗子に張り付け、ステレオカメラを用い位置姿勢計測手法を新たに提案し、プログラムの実装を行った。今後は精度評価実験実施し有用性検証を行う。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、研究代表者の研究機関変更によって生じた遅れを遂行することを目的とする。そのため、3年計画の本研究を1年期間延長した。 機構に関しては、2つのゴールを持って進める。一つは制限制御の定量的評価であり、もう一つはトロッカ型機構の改良である。制限機構を用いた制御に関しては、今まで定性的な評価に留まっているのが現状である。どれ程の力で制限され、その応答性はどうなっているのか評価評価するための実験装置を設計・製作し、評価実験を行う。トロッカ型機構の改良については、応答性を高めると同時に制限力を増加することを目的としている。現在設計しているマニピュレータはリンク機構を持つ構造となっている。よって、十分な剛性と応答性を実現できると考えている。 学習効果の定量評価に関しては、動作と同時に把持力を操作する側に掲示し、追従させ、その精度などを定量的に評価する予定である。現在使用している評価用装置に鉗子の把持力が計測かのうであるように設計をしている。また、掲示用として画面上に現れるマーカーに色を付け、その力の強弱を表現する。その成果は、論文としてまとめる予定である。 内視鏡画像を用いた鉗子の位置姿勢推定に関しては、エンコーダとパターンを有するマーカを利用した新しい位置姿勢計測手法の精度評価実験を行い、その有用性を検証することを目的として進めていく。 進行状況によっては、東京大学内にある施設にて動物実験を行うことで、生体を対象にしたときの操作・制御の定性的・定量的評価を行い、その結果を基に臨床応用への可能性を確かめる。
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