研究課題/領域番号 |
21K12742
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
竹本 智子 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 研究員 (00450403)
|
研究分担者 |
横田 秀夫 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, チームリーダー (00261206)
矢野 友規 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 科長 (70505883)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 画像診断 / 消化器内視鏡 / 人工知能 / 深層学習 / 胃がん / 酸素飽和度 / 内視鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、X線検査に代わる胃がんの早期発見の手段として、健康診断への内視鏡画像診断の全国的な導入が期待されている。しかし、早期胃がんは消化器系がんの中でも特に診断が難しいことから、医師の経験や能力に診断精度が大きく依存する。今後想定される検査数増加に対し、正確・迅速に検査画像を事前レビューし、専門医の負担軽減や診断支援ができるコンピュータ支援診断技術が求められている。そこで本研究では、病変の機能的特徴を活用した早期胃がんの自動検出法を開発する。アウトプットとして、検査画像内の病変の有無を検出するだけでなく、病変の「領域」を詳細に提示できるようにし、診断後の治療計画の策定に役立てることを目指す。
|
研究実績の概要 |
胃がんは死亡率が高いがんの一つだが、早期発見ができれば予後が良いとされている。内視鏡検査は早期発見に有効な手段の一つであり、近年は検診にも取り入れられつつある。しかし、早期の胃がんは胃炎や炎症との判別が難しいことなどから、医師や施設によって診断精度に差が生じていることが問題になっていた。そこで本研究では、機械学習を活用して内視鏡画像から早期の胃がんを高精度に自動検出し、医師の熟練度や装置性能の違いによる診断精度差を軽減することを目指した。 本研究ではこれまでに、畳み込みニューラルネットーワーク(CNN)を活用し、少量の学習用データから早期胃がんの領域を自動検出する方法を提案した。提案法は、内視鏡検査画像の入力に対し、画像内の病変の有無に加え、1画素単位で病変の存在確率を予測できる。これを共同研究機関の約2年分の連続症例を用いて評価したところ、提案法が胃がんと判断した領域は、内視鏡専門医の範囲診断とほぼ同等の精度で病変領域を検出できることが示された。これらの成果は論文発表済である。 また、本年度は酸素飽和度イメージング装置から獲得した胃がん病変及びその周囲の酸素飽和度(Tissue oxygen saturation, StO2)の分布解析を実施した。胃がんの特徴によってStO2分布に違いがある可能性があることから、StO2を活用した病変の自動検出に向け、次年度も引き続き分布解析を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は消化器内視鏡の検査画像から早期胃がんを高精度に自動検出する手法の開発を目的に、以下3課題を実施計画として挙げている。 1.正解付きの内視鏡検査画像を学習データとしたCNNを活用し、早期胃がん領域を自動検出する方法論を開発する。 2.学習データのマルチスケール化や酸素飽和度内視鏡からの画像特徴等を活用することにより、一般的には難しいとされる早期胃がんの範囲診断を実現する。 3.専門医が作成した病変領域のアノテーション及びその臨床的特徴と、提案法が予測した病変の存在領域を解析し、本提案の有効性と限界を明らかにする。 これまでに、CNNを活用した早期胃がん領域を自動検出法を開発し、専門医による範囲診断と同等の精度で早期胃がん領域を自動検出することができた。これらの成果を論文誌で発表し計画1は完了した。また、計画3についても専門医の範囲診断と精度比較することで、提案法の有効性を示した。計画2について、本年度は酸素飽和度イメージングから得たStO2値について、病変及びその周辺領域の特徴分布解析を進めた。以上のことから、研究全体としては概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は酸素飽和度イメージングからの画像特徴を活用した画像診断法の確立を引き続き進める。現在までに病変領域とその周辺領域のStO2値の特徴分布解析を進めており、がんの臨床的特徴によってStO2値の分布特性が異なる可能性があることから、これまでの画像輝度値に加えStO2値を活用した早期胃がん領域の学習・自動検出を進める。
|