研究課題/領域番号 |
21K12758
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90140:医療技術評価学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
立岩 俊之 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00424630)
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研究分担者 |
高橋 康仁 東京医科大学, 医学部, 助教 (60567668)
宍戸 孝明 東京医科大学, 医学部, 教授 (70266500)
正岡 利紀 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70256270)
山本 謙吾 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (10246316)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 人工股関節 / 超高分子量ポリエチレン / 寛骨臼ライナー / 衝撃疲労試験 / 耐摩耗性 / 抗酸化性 / 耐疲労性 / 高度架橋ポリエチレン / 長期耐用性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、高度架橋ポリエチレン人工股関節における超長期耐用を実現するための材料設計の至適化を物理化学的視点で試みるものである。過酷な生体環境内では、インプラントが磨り減ることのみによって寿命を迎えるのではなく、酸化や疲労破壊によってもその寿命が大きく制限される。特に高度架橋化処理により耐摩耗性は向上したが、耐疲労性が低下したという材料工学的課題が残っている。また酸化防止対策として実施されている加熱処理も耐疲労性低下の一因となっている。上記トレードオフの問題を考慮した至適材料設計およびデザイン案を科学的に提唱し、構造力学的に最善のインプラントを患者毎に選択するための指標の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、人工股関節全置換術(THA)用インプラントである高度架橋超高分子量ポリエチレン(XLPE)寛骨臼ライナーを対象に、抗酸化・耐摩耗・耐疲労の3つの視点から物理化学的耐久試験を実施し、これらの知見を統合することによって、XLPEライナーにおけるミクロ構造からマクロデザインまでを定量的に至適化することを目指すものである。 2023年度は、電気式リニア・トーション試験機を用いた大腿骨ステムネックとXLPEライナー間の衝撃疲労試験を実施した。本試験では、ライナー辺縁部への最大荷重時にネックが10度回旋し、93 lbf・inのトルクが発生するよう実験配置を調整することで、摩耗を伴う疲労を機械的に再現した。試験サイクル数は、最大10万サイクルとし、ライナー辺縁部に肉学的な亀裂進展を認めた場合、その時点で試験を停止し、破損サイクル数を記録した。使用したライナーの厚みは、2.45, 3.45, 4.45, 6.45mmで、内径は36mmであった。 衝撃疲労試験の結果、放射線架橋量が増大するほど耐疲労性の低下傾向が見られたが、抗酸化剤であるビタミンE(dl-α-tocopherol)を0.3 wt.%混合することで耐疲労性が向上する様子を確認した。またXLPEライナーの厚みが減少するほど、ネック衝突に伴う損傷度およびミクロ構造の変化が有大きくなる傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
製造条件や厚みの異なるUHMWPE寛骨臼ライナー(n=各3個)のネック衝突疲労試験およびその後の分光解析が終了しているが、研究期間を1年延長することで、現在は標本サイズを増やした再実験を行っている。おおむね順調に進捗していることから、次年度で本研究を終了できる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、再現性および仮説検定の信頼性向上を目的として、ネック衝突疲労試験の追加標本による再実験を継続して実施する。さらに、これまでの摩耗試験、強制酸化試験、ネック衝突試験の結果を統合することで、さらなる長期耐用性の延伸に向けた製造因子やライナーデザインの至適な条件提案を目指す。
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