研究課題/領域番号 |
21K12763
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90140:医療技術評価学関連
|
研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
服部 秀計 藤田医科大学, 医療科学部, 准教授 (70351046)
|
研究分担者 |
寺本 篤司 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (00513780)
大野 良治 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30324924)
安田 あゆ子 藤田医科大学, 大学病院, 教授 (30402613)
太田 誠一朗 藤田医科大学, 医学部, 講師 (80726688)
外山 宏 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90247643)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 造影剤アレルギー / 人工知能 / アナフィラキシー / ヨード造影剤 |
研究開始時の研究の概要 |
ヨード造影剤を用いる造影CT検査は,X線の透過性を変化させることで病変や組織のコントラストを強調し病変を明確にすることができる。しかし、ヨード造影剤は稀ではあるが0.00025%が死亡に至る。これを防ぐには早期の初期介入が望まれる。通常の造影CTは,造影剤投与90秒から120秒後に撮影が行われるが、検査を担当する医療従事者は被ばくを避けるため撮影室外にいる。まれにしか遭遇しない副作用であり患者からの距離もあることから症状の発見・判断が遅れることがありえる。AIを用い画像上の微妙な変化を検出することで,アナフィラキシーを呈した患者を撮影のタイミングで検出し,早期介入を可能とする。
|
研究実績の概要 |
非イオン性ヨード造影剤は,X線の透過性を変化させることで造影剤を使用しない検査と比較して,病変や組織のコントラストを強調することで病変を明確にすることができる. ヨード造影剤によるアナフィラキシーは0.04%であり,極稀に死亡に至ることから早期の初期介入が望まれる. 本研究の目的は,AIを利用したアナフィラキシーのRadiomics解析による検出手法の開発である. 我々は,1.アナフィラキシーと細気管支より末梢の気管支,末梢肺血管,IVCの画像所見との関連性についての視覚的評価、2.アナフィラキシー 発症前後の気管支狭小化の定量的な比較,3.下大静脈狭小化有無の自動検出の試みについての以上,3点について検証してきた. 下大静脈に関しては,面積,長径,短径,角度などの特徴量をもとにOrange(Ver. 3.32. 0)を用いてNaive Bayes(NB),Support Vector Machine(SVM),Random Forest(RF),Neural Network(NN)で症状発症有無についての判別が可能かを評価したところ,Random Forestを用いた際の正解率とBalanced Accuracyが90.2%±2および88.8%±2.3と良好であり,機械学習を行うことで一定の成果を得ることを明らかにできCARS2023にて発表をおこなった.末梢気管支の径については,右肺S9からS10の末梢気管支内腔を手作業で抽出することで,アナフィラキシー発症時と非発症時の内腔の変化率についてピクセル数をカウントしTukeyのHSD検定を行うことで内腔変化率を比較したところ,アナフィラキシー群と正常群またはアレルギー群の間に有意差(p<0.05)を明らかにすることができたため,ACTI2023,ECR2024にて発表を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
造影剤によるアナフィラキシーを発症した際に造影前後のCT画像所見での変化が最も出やすいと想定した,末梢気管支の径,璧厚および 肺野のCT値変化,下大静脈の形状等について視覚的評価を行った. アナフィラキシー発症時と非発症時の末梢気管支の径および下大静脈の形状において3名の放射線診断医による視覚的評価において,末梢気管支の内腔および下大静脈の狭小化を認めた.末梢気管支の璧厚 および 肺野のCT値変化については,視覚的な評価において有意差があきらかにできないと考え,今後の検討課題からは除外することとした. 下大静脈の狭小化に関しては,手作業による領域抽出後の領域について機械学習を行うことで一定の成果を得ることを明らかにできたものの,下大静脈の自動抽出には改善の余地がある.また,末梢気管支の狭小化については,手作業による内腔抽出は作業者によるばらつきが問題となりうるため,内腔抽出を行うための予備的な処理として気管支内腔の抽出について,機械学習を応用して行った.概ね良好な結果が得られているように見えるものの,再現性については再現性が乏しい場合もあったため評価自体を行なっていない. 論文作成が遅れている事を含めると,以上から研究の進捗はやや遅れていると考える.
|
今後の研究の推進方策 |
現在,アナフィラキシーと気管支の関連性についての研究を実施しているも,論文作成に必追加のデータ収集と分析が現時点での最も重要な課題である.下大静脈の狭小化自動検出の試みは一定の成功を収めたが,検出すべき部位や最適なスライス位置に関する情報について検証を行う必要がある.末梢気管支の評価については,手作業による気管支抽出の効率改善と自動抽出による性能向上を検討している.これには,テクスチャ解析や教師データの追加を検討中である.
|