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間葉系幹細胞の細胞老化に伴って破綻する幹細胞恒常性の維持機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K12766
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分90140:医療技術評価学関連
研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

三浦 巧  国立医薬品食品衛生研究所, 再生・細胞医療製品部, 室長 (60405355)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード間葉系幹細胞 / 再生医療 / 細胞老化 / stemness / レギュラトリーサイエンス
研究開始時の研究の概要

ヒト間葉系幹細胞(ヒトMSC:human Mesenchymal Stem Cell)は、既に様々な疾患の治療のために使用されている有用な細胞であるにも関わらず、その分子的な実態はよく理解されていない。本研究では、ヒトMSCの細胞寿命および老化機構を解析することに主眼を置き、細胞老化に伴って破綻する幹細胞恒常性(stemness)の維持機構を明らかにすることを目指す。即ち、本研究の成果は、ヒトMSCの最適な培養環境を整備することに繋がり、将来的には再生医療でニーズが高まる高品質なヒトMSCの大量生産および安定供給などの製造基盤技術の構築にも貢献するものである。

研究実績の概要

生体内における酸素濃度は、体外培養条件における酸素濃度(20%)に比べると著しく低いことから、低酸素濃度環境下でヒト間葉系幹細胞(MSC)を培養維持する方が、ヒトMSCにおける幹細胞性維持にとって適した培養環境であると予想される。そこで、当該年度においては、ヒトMSCを通常酸素濃度(20%、Normoxia)及び低酸素濃度(1%、Hypoxia)の培養環境下のそれぞれにおいて培養を行い、細胞増殖能、SA-beta-gal陽性細胞、細胞老化関連因子、多分化能、エクソソーム分泌能、サイトカイン分泌能などを定量的に比較評価した。Hypoxia環境で16時間培養した骨髄由来MSCは、Normoxia培養条件下と比較して、生存率、細胞形態およびエクソソーム分泌能に顕著な違いは観察されなかった。一方で、サイトカイン分泌能については、炎症性サイトカインや血管新生関連タンパク質の上昇が認められた。以上の結果は、骨髄由来MSC細胞において低酸素環境への適応機構が正常に機能していることを示唆している。また、miRNA発現解析の結果より、低酸素下で細胞増殖の抑制に関与することが知られているmiR-490-3pの発現が、Hypoxia環境下で培養されたMSCにおいて上昇していることも確認された。このことは、長期間低酸素環境でMSC細胞を培養し続けた場合、MSCの幹細胞恒常性が喪失する恐れがあることを示唆している。今後は、単一細胞遺伝子発現解析を実施し、Hypoxia培養環境下の長期的培養過程(細胞老化)において低下した幹細胞恒常性と相関する細胞集団画分を特定する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定どおり、低酸素培養環境がヒトMSCの幹細胞性維持に及ぼす影響について解析するために、様々な細胞機能アッセイを実施し、長期間低酸素環境でMSC細胞を培養し続けた場合、MSCの幹細胞恒常性が喪失する恐れがあることを示唆するデータが得られた。このように、本研究はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

昨年度までに得られた細胞老化関連遺伝子の候補となる遺伝子の機能を喪失させ、ヒトMSCの幹細胞恒常性機構を破綻させる実験を試みる。一方で、老化したヒトMSCにおいて、当該遺伝子を強制発現させることにより、幹細胞恒常性機構の再獲得に関して検証する。また、遺伝子喪失実験に関しては、初代培養細胞であるヒトMSCにおいては技術的に困難であるため、ヒトiPS細胞において目的遺伝子の機能を喪失させ、ヒトMSCへの分化誘導を試みることが可能か検討を行う。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Single-Cell RNA-Seq Reveals LRRC75A-Expressing Cell Population Involved in VEGF Secretion of Multipotent Mesenchymal Stromal/Stem Cells Under Ischemia2023

    • 著者名/発表者名
      Miura T, Kouno T, Takano M, Kuroda T, Yamamoto Y, Kusakawa S, Morioka MS, Sugawara T, Hirai T, Yasuda S, Sawada R, Matsuyama S, Kawaji H, Kasukawa T, Itoh M, Matsuyama A, Shin JW, Umezawa A, Kawai J, Sato Y.
    • 雑誌名

      Stem Cells Translational Medicine

      巻: 12 号: 6 ページ: 379-390

    • DOI

      10.1093/stcltm/szad029

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ヒト細胞加工製品の品質管理の今とこれから2022

    • 著者名/発表者名
      三浦巧, 佐藤陽治
    • 雑誌名

      PHARM STAGE

      巻: 21 ページ: 1-3

    • NAID

      40022791132

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] シングルセル解析によるヒト間葉系間質/幹細胞の特性指標探索の試み2024

    • 著者名/発表者名
      三浦巧, 河野掌, 高野慈美, 黒田拓也, 山本由美子, 草川森士, 森岡勝樹, 菅原亨, 平井孝昌, 安田智, 澤田留美, 松山さと子, 川路英哉, 粕川雄也, 伊藤昌可, 梅澤明弘, 河合純, 佐藤陽治.
    • 学会等名
      第23回日本再生医療学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 単一細胞遺伝子発現解析による間葉系幹細胞の血管新生能予測バイオマーカーの探索2023

    • 著者名/発表者名
      三浦巧, 河野掌, 高野慈美, 黒田拓也, 山本由美子, 草川森士, 森岡勝樹, 菅原亨, 平井孝昌, 安田智, 澤田留美, 松山さと子, 川路英哉, 粕川雄也, 伊藤昌可, Jay W Shin, 梅澤明弘, 河合純, 佐藤陽治.
    • 学会等名
      第22回日本再生医療学会総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 間葉系幹細胞の薬理効果に寄与するバイオマーカーの効率的な同定法の開発2022

    • 著者名/発表者名
      三浦巧, 河野掌, 高野慈美, 黒田拓也, 山本由美子, 草川森士, 森岡勝樹, 菅原亨, 平井孝昌, 安田智, 澤田留美, 松山さと子, 川路英哉, 粕川雄也, 伊藤昌可, Jay W Shin, 梅澤明弘, 河合純, 佐藤陽治.
    • 学会等名
      日本再生医療学会第2回科学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] シングルセルRNA-Seq解析によるヒト間葉系幹細胞の特性解析2022

    • 著者名/発表者名
      三浦巧, 河野掌, 高野慈美, 黒田拓也, 山本由美子, 草川森士, 森岡勝樹, 菅原亨, 安田智, 澤田留美, 松山さと子, 川路英哉, 粕川雄也, 伊藤昌可, 梅澤明弘, 河合純, 佐藤陽治.
    • 学会等名
      第21回日本再生医療学会総会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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