研究課題/領域番号 |
21K12772
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
片桐 匡弥 広島大学, 医系科学研究科(医), 専門研究員 (40793451)
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研究分担者 |
飯田 幸治 広島大学, 病院(医), 教授 (20304412)
亭島 淳 広島大学, 医系科学研究科(医), 専門研究員 (20397962)
原田 宗子 名古屋大学, 情報学研究科, 特任講師 (30414022)
香川 幸太 広島大学, 病院(医), 助教 (40726981)
CHAN HUILING 広島大学, 脳・こころ・感性科学研究センター, 特任助教 (80867979)
音成 秀一郎 広島大学, 病院(医), 助教 (70847996)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 迷走神経刺激術 / 切迫性尿失禁 / 経皮的迷走神経刺激術 / てんかん / 脳磁図 / 脳結合性 / デフォルトモードネットワーク / 薬剤抵抗性 / functional MRI / 内受容感覚 / 腹側注意ネットワーク / バイオフィードバック |
研究開始時の研究の概要 |
尿失禁は高齢者に多く見られ、本人のQOLを著しく低下させるだけではなく、介護者の負担も増 加させることから、高齢化社会における大きな問題の一つである。切迫性尿失禁では、膀胱からの内臓感覚(内受容感覚)に対する反応が低下し、失禁に対する過度な注意・不安が生じている状態が挙げられ、病態に中枢神経の関与が強く疑われる。一方、経皮的迷走神経刺激(taVNS)が、内受容感覚刺激に対する脳の反応を正常化することが報告されている。本研究では、切迫性尿失禁患者にtaVNSを行い、fMRI及び脳磁図を用いてその作用機序を解明し、経皮的迷走神経刺激の切迫性尿失禁治療への応用を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、経皮的迷走神経刺激の切迫性尿失禁治療への応用の可能性を探ることを目指し、具体的には(a) 膀胱内圧上昇時の大脳皮質内ネットワークによる橋排尿中枢への排尿コントロール指令の神経基盤、及び関連脳領域間の機能的結合の強さと膀胱内圧変化への感受性との関係を明らかにすること、(b) 経皮的迷走神経刺激を行った場合の、特に大脳皮質における内受容感覚処理中枢の一つである島皮質の神経活動の変化と、膀胱内圧変化への感受性及び尿意に対する注意や不安の程度との関係を明らかにすること、を目的としている。経皮的迷走神経刺激を行う上で、まずターゲットとなる脳内ネットワークを調べるため、2011年1月-2018年12月までに広島大学病院でVNS前後に脳磁図を行なった患者で、てんかん焦点切除を行なっていない24例を対象とし、迷走神経刺激前後の各脳領域の結合性を検討した。VNS前後の脳磁図データを2秒のセグメントに分割し、目視でアーチファクトやてんかん性放電が含まれない安静覚醒時のデータを10sets抽出した。得られたデータで電流源推定を行ない、デルタ、シータ、アルファ、ベータ、ガンマ、ハイガンマ帯域のPhase-locking value(PLV)を算出し、平均した。各脳領域間でVNS前後のPLVの変化をレスポンダー(50%のてんかん発作減少)と非レスポンダーに分けて比較・検討した。平均手術時年齢は33.8歳、平均てんかん発症年齢は11.3歳、VNS前/後MEG施行時の平均投与薬剤数は3.1/3.9剤であった。発作型は23例が焦点発作で、10/24例(41.7%)がレスポンダーだった。デルタ、シータ帯域で左右楔部、楔前部、後部帯状回、後頭葉内側、左前頭葉弁蓋部間の、アルファ帯域以上では、前頭側頭弁蓋部、嗅内皮質、後部帯状回での有意(p=0.005)な結合性の変化(主に増強)をレスポンダーで認めた。VNSレスポンダーの脳活動は低周波帯域でdefault mode networkに含まれる脳領域間結合性が増強した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
経皮的迷走神経刺激装置が、新型コロナウイルス流行により、半導体不足などの社会的背景から入手困難となり、十分なエントリー期間が確保できず、切迫性尿失禁患者をリクルートできなかった。それにより当初の計画である切迫性尿失禁患者への経皮的迷走神経刺激実験が開始できる状況に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
てんかん患者特に前頭葉てんかん患者で発作の前兆として尿意を自覚したり、発作中・発作後に尿失禁を認めるものがいる。てんかんに対する迷走神経刺激術を行った患者で迷走神経刺激前後の脳磁図データが得られたものを対象に、その脳内ネットワークの変化を調べることにより迷走神経刺激と尿失禁に関わる脳内ネットワークの関係を明らかにする。
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