研究課題/領域番号 |
21K12785
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
山田 宏尚 岐阜大学, 工学部, 教授 (80240034)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | バーチャルリアリティ / 車椅子 / シミュレータ / VR酔い / 医療福祉工学 |
研究開始時の研究の概要 |
公共施設など,建築前の施設にバリアフリーの機能を持たせようとする場合,事前に十分な評価をすることは難しい.このような状況において,バーチャルリアリティ技術を用いたシミュレータを用いて構想段階の施設等の利便性を評価できれば有用である.本研究では,仮想空間内を車椅子で自由に動き回ることを可能にするシステムを構築し,揺動感覚と人の認知機能との関係を検証し,現実空間に近い模擬性能を維持しながらVR酔いの少ない車椅子シミュレータの研究開発を行う.
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研究実績の概要 |
前年度までの研究では主に車椅子の坂道走行に着目してシミュレータの研究開発をし,縦断勾配がある坂道で車椅子に乗った状態の人が傾斜角度を認識する場合,車椅子に座ることで得られる体性感覚とハンドリムを操作することによる力覚は相互に補完し,同程度の精度をもつという結果を得た.しかし,現実に存在する坂道には,縦断勾配をもつものの他に横断勾配をもつものがある.縦断勾配をもつ坂道と横断勾配をもつ坂道の走行では車椅子のハンドリム操作と操縦者の姿勢が大きく異なることを考慮すると,車椅子に乗った状態の人が坂道で角度を把握するための要素が2種類の坂道で異なると考えられる. そこで,人の車体傾斜感覚を司る視覚,力覚,及び体性感覚を対象として縦断勾配がある坂道と横断勾配がある坂道のそれぞれに対して,傾斜角度知覚にどの感覚がどのように影響を与えるのかを調べることを目的とし,車椅子に乗った状態の人に与える車体傾斜感覚を,(1)視覚,(2)視覚と力覚,(3)視覚と体性感覚,(4)視覚と力覚と体性感覚の4つに場合分けをして2種類の坂道の走行実験をVRシミュレータにより行った.評価実験では,仮想空間内の1%から5%まで0.5%ごとに勾配を与えられた9つの坂道の中から任意で1つ坂道を設定して被験者に走行してもらい,その勾配を予想してもらうという手順を横断勾配,縦断勾配それぞれについて4つの手法で行い,実際の値との誤差を評価した. 縦断勾配がある坂道,横断勾配がある坂道ともに視覚のみで車椅子を走行した場合の誤差の値が最も高くなり,視覚と力覚と体性感覚で走行した場合の誤差が最も小さくなった.また視覚と力覚で走行した場合の誤差の値が視覚と体性感覚で走行した場合より小さい結果となった.以上の結果より,坂道走行時に,人が坂道の勾配を認識するのに用いる車体傾斜感覚の関係性が明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
住宅設計の評価項目において情報支援システムがどのように影響するのかについての知見を得ることを目的とし,前年度に実施した折り返しのあるスロープに加え,新たに縦断勾配がある坂道と横断勾配がある坂道のそれぞれに対して,傾斜角度知覚にどの感覚がどのように影響を与えるのかを調べた.また,被験者実験により評価項目による手法間の違いや実機との相違点を検証した.さらにこれまでの研究結果の一部を学術論文として発表した.
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに研究・開発された車椅子シミュレータの各要素を連携させたときに,実質的効果をもたらす車椅子シミュレーションのシステム要件を明らかにし,本手法の有効性を被験者による評価実験により検証する.そして,実験によって得られたデータを用いることで,構想段階の施設等の車椅子利用時の利便性を事前に評価できる実用的なシミュレータの各種パラメータを確認し,車椅子利用者の社会進出を支援できる評価システムの確立を目的として研究を進める.
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