研究課題/領域番号 |
21K12821
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
木山 幸輔 筑波大学, 人文社会系, 助教 (10837107)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 人権 / 尊厳 / ビジネスと人権 / 貧困表象 / 国際人権 / 福利 / 地位 / 人間性 / 国際法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「人権が人間性に依拠することはどのように理解されるべきか」の問いに回答を与える。本研究はまず、この問いに対する回答を、以下の3つの作業を通じて提示する。第一に、福利説の最善理論の同定、第二に、地位説の最善理論の同定、第三に、それら最善理論の比較検討である。次にその探究の成果を用い、「ビジネスと人権」をはじめとする国際公共政策における人権保障主体特定への含意を明らかにする。こうした一連の作業を通じ、「どうして人間が人権を持つのか」という根源的問題に回答を与え、現実的な公共政策への示唆にまで含意を有する人権理論を構築する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、「人権が人間性に依拠することはどのように理解されるべきか」の問いに対し、回答を与えること、そしてその回答をもとに適切な国際人権政策を描き出すことにあった。より具体的には、本研究は、まず(1)福利説の最善理論の同定、(2)地位説の最善理論の同定を行い、(3)両者を比較検討することを企図した。(4)その上で、得られた知見を現実施策、特に国際人権政策に適用することを企図した。 2023年度は、(1)(2)(3)(4)に関して、着実な進展を見た。(1)に関しては、尊厳概念と人権概念の関係の検討を通じて、どのような福利が人権の基礎となるべきか、考察を行うことができた。その成果は、英語報告として、本科研費を用いて主催した日本で初めての人権の哲学に関するワークショップThe 1st Philosophy of Human Rights Japan Workshopで報告することができた(投稿準備中)。(2)(3)に関しては、イギリススターリング大学への1ヶ月の滞在を経て、文化的多元主義状況における人権の正当化諸論証の検討を行い、福利に依拠せずに人権を正当化することが不適切と結論する英語報告を行うことができた(投稿中)。(4)については、特に「ビジネスと人権」を素材に、人権の実現における国際法・国内法・道徳的権利の位置について考察を加えることができた(依頼により2原稿脱稿準備中)。さらには、社会権に関する人権保障のうえで、どのように貧困の表象を行うことが適切かに関する考察についても、国際開発学会での報告ののち、論文を公表できた(約60000字)。 また、日本におけるWSや在外研究で、多様な国からの道徳・政治・法哲学者と交流することができ今後の交流にも開かれた。加えて、実定法を専門とする研究者と多く交流することができたのも、成果の一つでもある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本務校(筑波大学)等での教務や委員負担が大きくとも大事にしつつ、総計で日本語100000字程度および英語12000words程度の原稿を書き進め、出版確定、投稿ないし依頼原稿の脱稿作業に入ることができたのは、大きな成果だと思っている。特に、規範理論的考察を中心としつつも、実定法研究者や国際開発学の研究者・実務家と交流することができ、今後もなお一層の、実務家や、哲学倫理学を専門としない研究者との交流も可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、主に、(4)、すなわち国際人権政策を評価する研究に従事したい。第1に、世界法哲学社会哲学連合世界会議(韓国)における健康への人権に関する報告がすでに採択されているので、その準備として研究を深めたい。第2に、女性器切除をめぐるそれのような表象や実践と人権の関係についても考察を進めたい。加えて、(2)地位説についてもう少し検討を行っていきたい。これらを、依頼を得た単著書への統合を念頭に、なお考察していきたい。 2025年度は、(1)-(4)を体系化し、単行本の形を念頭に一貫・統合する研究に従事する。
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