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19世紀ドイツ哲学における心理主義―新カント派黎明期を中心として―

研究課題

研究課題/領域番号 21K12830
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分01010:哲学および倫理学関連
研究機関京都大学 (2023)
清泉女子大学 (2021-2022)

研究代表者

辻 麻衣子  京都大学, 文学研究科, 特定研究員 (40780094)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード新カント派 / 生理主義 / トレンデレンブルク / フィッシャー / コーヘン / 心理主義 / ヘルムホルツ / 認識論
研究開始時の研究の概要

本研究は、19世紀中葉にドイツで興った新カント派の思想を心理主義という観点から捉え直し、そこから取り出される心理主義概念がより広い哲学史的文脈のもとで普遍的に持つ意味を詳らかにしようとするものである。その際、黎明期に当たる生理主義的なカント解釈の代表者であるヘルムホルツ(1821-1894)の思想に着目し、「心理主義」を鍵概念として新カント派という思想的潮流を読み解くことで、当時の心理主義概念を明確化し、またこの心理主義が、概念として一貫したものであったのかを再考することで、心理主義と論理主義の調停に資する見解を提示することを試みる。

研究実績の概要

本研究を遂行するにあたっては、3つの柱(1. ヘルムホルツのテクスト検討、2. 初期中期コーヘンのテクスト検討、3. 前記の2つの分析を通じた19世紀後半のドイツ哲学における心理主義の解明)がある。3年目である2023年度は、2022年度に引き続き、そのうち2. 初期中期コーヘンのテクスト検討を行いつつ、遅れが生じていた1. ヘルムホルツのテクスト検討も並行して進めてきた。具体的には、初期から中期にかけてのコーヘンが心理主義批判へと転じる契機となったと言われるトレンデレンブルク‐フィッシャー論争に焦点を当て、この論争に関わるテクストを詳細に分析した。トレンデレンブルクは若きコーヘンの師であったが、このトレンデレンブルクが『論理学探求』(1840年)にて示したカントの時間空間論に対する見解に対し、若手哲学者クーノ・フィッシャーは『論理学と形而上学の体系』第二版(1865年)で異論を提出した。これら二つのテクストを中心に、その後の両者間のやりとりも参照しながら、トレンデレンブルク‐フィッシャー論争が19世紀中葉のドイツ哲学、あるいは生理学、心理学領域においていかなる意義を持っていたのか、また同時にコーヘンの思想形成にどのような影響を与えたかについて明らかにする試みを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

トレンデレンブルク‐フィッシャー論争を中心としたテクストの分析、解釈については順調に進展している。また、本研究にとって大きな意味をもつ、19世紀ドイツにおける、哲学をはじめとして生理学、心理学、物理学といった近接領域を含めた学問的状況がいかなるものであったか、という射程の広い問題関心についても、若手専門家を集めた研究会の開催、および編著本の刊行(2024年度中を予定)により大きく進展したと言える。2021年度には十分遂行できず、引き続き進めていた1.ヘルムホルツのテクスト検討に関しても、上記プロジェクトの一部として成果が公表できる予定である。しかしながら、昨年度の半ばに所属先と職務内容に大きな変化があったために、全体としては当初に想定していたよりも進捗は遅れ気味でもある。

今後の研究の推進方策

2024年度以降は、2. 初期中期コーヘンのテクスト検討を引き続き行いつつ、19世紀後半のドイツ哲学における心理主義の解明を開始する。上述のように、編著本プロジェクトにおいて2023年度から少しずつは進めてきたが、今年度はこれを本格的に展開する予定である。ただし、前者において予定していたコーヘンの『カントの経験の理論』(1871年)のテクスト解釈については、その扱いを縮小し、後者の広範な視座の一つにとどめるつもりである。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] <Review>フィヒテ研究 [Japanese Fichte-Studien] issue 30 (Tokyo: Chisen Shokan, 2022), ISBN 9784771036918; and Issue 31 (2023) online.2024

    • 著者名/発表者名
      Maiko TSUJI
    • 雑誌名

      FICHTEANA

      巻: 23 ページ: 65-69

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 〈書評〉中野裕考『カントの自己触発論――行為からはじまる知覚』2023

    • 著者名/発表者名
      辻麻衣子
    • 雑誌名

      日本カント研究

      巻: 24 ページ: 140-142

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 〈書評〉カント哲学の彫琢とALZ2023

    • 著者名/発表者名
      辻麻衣子
    • 雑誌名

      ヘーゲル哲学研究

      巻: 29 ページ: 169-176

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 太田匡洋『もう一つの19世紀ドイツ哲学史: ポストカントにおける哲学方法論の系譜』2022

    • 著者名/発表者名
      辻麻衣子
    • 雑誌名

      フィヒテ研究

      巻: 30 ページ: 75-80

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 色彩について2024

    • 著者名/発表者名
      辻麻衣子
    • 学会等名
      鳥越覚生『佇む傍観者の哲学―ショーペンハウアー救済論における無関心の研究―』合評会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] カント哲学の彫琢とALZ2022

    • 著者名/発表者名
      辻麻衣子
    • 学会等名
      日本ヘーゲル学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] もう一つの言語起源論―テーテンスとヘルダー2022

    • 著者名/発表者名
      辻麻衣子
    • 学会等名
      研究会「哲学史研究は何をするのか」第1部:セミナー「ケーススタディによる哲学史研究の哲学」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 両者はカントをどのように読んだのか―トレンデレンブルク‐フィッシャー論争におけるカント時空論解釈2022

    • 著者名/発表者名
      辻麻衣子
    • 学会等名
      瀬戸内哲学研究会公開セミナー 「継承と対立──哲学史研究において影響関係はどのように語られるのか」
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] イントロダクション─カントの超越論的哲学はなぜ論理形式を問題とせざるをえなかったのか2022

    • 著者名/発表者名
      辻麻衣子
    • 学会等名
      瀬戸内哲学研究会ワークショップ「カントの継承者たちとカテゴリー論」
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] 3STEPシリーズ 倫理学2023

    • 著者名/発表者名
      神崎宣次(編集)、佐藤靜(編集)、寺本剛(編集)
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      9784812222188
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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