研究課題/領域番号 |
21K12831
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 東京大学 (2023) 明治学院大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
保田 幸子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 特任研究員 (60774776)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 平等 / 分配的正義 / 十分主義 / 分配理念 / パンデミックの倫理 / いつの平等か / 福利論 / 質調整生存年 / 平等主義 / 公平性 / 公共政策 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、通時的な分配的正義論の観点から医療資源の公正な分配の基準を明らかにすることを目的としている。医療資源の分配に関する有力な評価基準の一つに質調整生存年がある。しかし、この方法は、全体の利益のために少数の犠牲を容認しうると批判がなされている。医療資源の分配には、各人への分配的配慮の観点が必要であり、分配的正義論の医療資源への応用的研究が進展している。しかし、従来の分配的正義論の多くは、分配の時間的射程に関して「全生涯」を暗黙の前提としており、年齢が影響を及ぼす健康問題に応用するには不十分である。そこで本研究は通時的観点から医療資源の公正な分配を検討し、医療政策への規範的指針を提供する。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、ライフステージや年齢が影響を及ぼす健康問題も考慮するべく、時間の観点を中心として医療資源の公正な分配の基準を明らかにすることである。この目的のもと、分配の基準の理念となる頑健な十分主義の提示、不確実性下における公平性の追求に関する論点の抽出、年齢基準に関する問題点の整理とその応答などの成果を上げることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題の成果が持つ学術的意義は、二つにまとめられる。第一に、本研究は公正性の理念として批判に頑健な十分主義を提案し、この立場の理論研究に貢献した。第二に、パンデミック下におけるフェア・イニングスの正当化論を提案した。特に第二点目は、希少な医療資源へのアクセスの優先順位について混乱たや対立が生じた際の理論的基盤を提供するものであり、これが本研究の社会的意義であると考える。
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