研究課題/領域番号 |
21K12835
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
竹花 洋佑 福岡大学, 人文学部, 准教授 (60549533)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 田辺元 / 西田幾多郎 / ヘーゲル / 判断 / ブランダム / ネオプラグマティズム / セラーズ / 科学哲学 / スピノザ / 歴史主義 / 時間 / 国家 / 実存協同 / 近代日本哲学 / 行為 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、西田幾多郎や田辺元における論理の意味を、英米圏のネオ・プラグマティストのヘーゲル解釈を手かがりに明らかにすることにある。西田や田辺が論理ということを語るときに、ヘーゲルからの影響が決定的であることはよく知られている。ただ、ヘーゲルの論理理解が現代の哲学的潮流において孤立しているならば、ヘーゲルと付き合わせたところで両者から論理についての新たな哲学的視点を取り出す見込みは少ない。しかし、実際には論理の現在的意味をふまえた英米圏の哲学者によってヘーゲルの読み直しが進められており、その議論を用いることで西田・田辺の論理理解を現代的なものへと開いていく可能性が生まれると考えられる。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、田辺元のヘーゲル論とブランダムのヘーゲル論との比較検討を行った。具体的に言えば、田辺が1932年に刊行した『ヘーゲル哲学と弁証法』の中の「ヘーゲル判断論の理解」という論文を丹念に読み解き、そこでの田辺の立場が、論理的な判断がすでに社会的実践に媒介された営みであることを明らかにした。そして、そうした田辺の立場が「種の論理」の基本的立場に受け継がれていることも同時に論じた。こうした田辺のヘーゲル判断論理解が、文脈をまったく異にするとはいえ、ブランダムや彼に影響を与えたセラーズの立場と、発想において共通する点があることを明らかにした。田辺とネオプラグマティズムのヘーゲル論の比較検討は、2023年6月10日に開催された第3回日本哲学コンソーシアムにおいて「西田と田辺のヘーゲル理解の争点――分析哲学のヘーゲル論を手掛かりとして」と題して発表した。また、田辺のヘーゲル判断論の立場についての詳細な解釈は、「田辺元とヘーゲル-コプラの論理と判断の社会性」(『人文論叢』55巻2号、福岡大学、2023年)において論文として掲載した。 3年間の研究の成果は主に以下の2点に集約することができる。(1)思想的な関係性がまったく想定されていなかった、英米の分析哲学と近代日本の京都学派との内面的な関係性が、両者がヘーゲルに関心を示していること、さらにその足場としての行為・実践の立場に立脚していることに着目することで、明らかにされたことにある。具体的には、判断の社会性に注目するという意味において田辺とプランダムの立場には重なり合うところがあると言える。(2)分析哲学の明晰な問題理解ないしは問題設定を取り入れることで、田辺の複雑で抽象的な主張を具体的に理解する視点が獲得された。
|