研究課題/領域番号 |
21K12836
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 大阪大学 (2023) 同志社大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
櫻井 真文 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 特別研究員(PD) (20844096)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | フィヒテ / カント / シュミート / 尊厳 / 選択意志 / 自由 / 道徳教育 / ヘンリッヒ / 実践 / 意志の自由 / 自由の体系 / 方法論 / 知識学 / 知性 / 行為執行 / 積極的自由 / フィヒテの実践哲学 / 選択意志の自由 / 国家論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ヨハン・ゴットリープ・フィヒテ(1762-1814)の実践哲学における「人間の尊厳」概念の体系的解釈モデルを構築するものである。自国第一主義や他者への不寛容の潮流が加速しつつある昨今、そのアンチテーゼとして、全ての人に等しく「人間の尊厳」が備わることを力強く主張するフィヒテの実践哲学を徹底的に検討することは、時宜にかなった課題である。本研究は、フィヒテ哲学の応用的部門である「倫理学」と「国家論」に照準を定め、 彼と同時代の哲学者の学説も比較検討する。ひいては「人間の尊厳」を巡る現代の議論を整理することを通じて、グローバル社会の基盤となる新たな「人間の尊厳」概念を提示する。
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研究成果の概要 |
本研究は、イェーナ期フィヒテの哲学の応用的部門である「自然法論」と「道徳論」の内容を検討することを通じて、フィヒテの実践哲学における「人間の尊厳」概念の体系的解釈モデルを構築することである。これにより、その自由意志論を軸としながら、全ての人に等しく「人間の尊厳」が備わるという主張を明瞭に打ち出すフィヒテの実践哲学の射程が解明された。あわせて本研究は、「人間の尊厳」を巡る現代の議論との関連で論じるものであり、グローバル社会の基盤となる新たな普遍的理性に裏打ちされた「人間の尊厳」概念を提示する研究である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果の学術的意義は、「人間の個別具体的次元からかけ離れた理性主義的な尊厳概念を展開している」、という従来のドイツ古典哲学理解に一石を投じる仕方で、フィヒテの「人間の尊厳」概念の遂行論的性格を描出した点に存する。また、フィヒテに先行するカントや同時代人のシュミートの「尊厳」理解との連関を明らかにし、フィヒテの尊厳論の独自的性格を浮き彫りにした点にも、学術的意義が認められる。さらに本研究の社会的意義は、「人間の尊厳」概念の普遍性ならびに陶冶可能性をドイツ古典哲学の枠組みで確証したことで、教育現場における理性主導的な「人間の尊厳」概念の涵養の理論的基盤を提供した点に存していると言えよう。
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