研究課題/領域番号 |
21K12839
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 香川高等専門学校 (2022-2023) 東京学芸大学 (2021) |
研究代表者 |
田村 昌己 香川高等専門学校, 一般教育科(詫間キャンパス), 講師 (60867555)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | バーヴィヴェーカ / 般若灯論 / プラバーカラミトラ / 漢訳 / 日本古写経 / アヴァローキタヴラタ |
研究開始時の研究の概要 |
インド中観派バーヴィヴェーカの『般若灯論』は、サンスクリット原典が現存せず、漢訳とチベット語訳でのみ伝わるが、漢訳は資料的価値がないとみなされ、長らく利用されてこなかった。しかし近年、漢訳の資料的価値を見直す動きが出ており、またそれに呼応して同書のテキスト成立・伝承についていくつかの仮説が提出されている。こうした状況を踏まえ、本研究は、(1)世界初となる日本古写経を用いた漢訳のテキスト校訂と(2)翻訳上の特徴の分析を通じた漢訳の再評価を行い、漢訳『般若灯論』の原形と実態に迫る。それにより、『般若灯論』のテキスト成立・伝承の過程に新たな視座を提供し、今後の『般若灯論』研究の礎となることを目指す。
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研究実績の概要 |
研究実施計画に沿って、以下の諸点にわたって研究を進めた。(1)定例の般若灯論研究会を4月から7月にかけて計4回オンラインで開催したのに加え、拡大版として般若灯論研究会2023を12月16-17日に龍谷大学で開催した。これにより、『般若灯論』を中心として、広く中観思想研究の最新の研究動向について参加の諸氏と情報交換したほか、小坂有弘氏の取り組む『般若灯論』第23章を参加者で検討し、多くの知見を得ることができた。(2)推論式説明箇所に焦点を当てて漢訳の翻訳上の特徴を分析した。その結果、漢訳の誤訳発生過程や論理学的知識の欠落などが明らかとなった。この成果については、次年度8月18-22日にオーストリア・ウィーンで開催される国際中観学会(International Conference: Madhyamaka in South Asia and Beyond)にて発表することが決定している。(3)『般若灯論』における他学派批判の全用例をピックアップし、漢訳とチベット語訳の相違や内容の分析を試みた。しばしば批判対象となるヴェーダーンタ学説について眞鍋智裕氏と情報交換を行い、今後の協力体制を確認した。(4)日本古写経を用いた漢訳のテキスト校訂に着手し、本年度は第22章の作業を進め、章全体の約三分の一について暫定的なテキストを作成した。当初は手探りの状況であったが、徐々に校訂のノウハウを蓄積しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
バイアウト制度利用も功を奏し、「研究実績の概要」で示したような、前年度以上の成果を上げることができた。しかし、前年度の「遅れている」状況から改善したとはいえ、当初計画に照らせば、全体としての進捗はやや遅れていると判断せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も本研究課題のエフォート率を改善するため、バイアウト制度利用を継続して研究時間を確保する。そして、その研究時間を利用して、本年度着手できなかった他章の校訂作業などの諸課題に取り組み、研究の遅れを挽回する。
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