研究課題/領域番号 |
21K12844
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 京都光華女子大学 |
研究代表者 |
稲葉 維摩 京都光華女子大学, 付置研究所, 研究員 (80760008)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 過去受動分詞 / 時制 / 結果構文 / 態(ヴォイス) / 結果構文(resultative) / アスペクト / 結果相 / 状態パーフェクト / 中期インド・アーリヤ語 / パーリ語 / 仏教 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、上座部仏教の文献を伝えるパーリ語の過去受動分詞について、その使われ方や意味を明らかにする。 パーリ語には過去受動分詞という動詞の形式がある。過去受動分詞はいわゆる現在完了の意味を表すとされる。また「受動」という名称の通り、他動詞から作られた場合は受け身の意味になる。しかしこの分詞は自動詞からも作られ、その場合は受け身にならない。 本研究では「現在における結果」という、現在完了と区別される意味の区分を取り入れて、パーリ語における過去受動分詞の使われ方を調べ、これまでの現在完了という理解や受け身になる・ならないということを総合的に捉えることで、パーリ語の文法を明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は、上座部仏教の文献を伝えるパーリ語の過去受動分詞について、従来と異なる視点から研究に取り組んだ。これまで、過去受動分詞は主に現在完了など「完了」の意味に捉えられ、他動詞から作られた場合には、受動の意味を外す見方がされてきた。しかし本研究を通して、過去受動分詞は、先立つ動作の後続時点における結果を表す結果構文として捉えられることがわかった。このことから、受動は先立つ動作の目的語の結果的状態を表すものだと理解できる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、これまで注目されてこなかった観点から、パーリ語の過去受動分詞の意味を捉えたことである。過去受動分詞は主に現在完了などの意味に理解され、受動は外される傾向にあった。本研究は、過去受動分詞が先立つ動作の結果を意味しており、受動は先立つ動作の目的語の結果を表していることを示した。新しい見方からパーリ語の文法の一面を捉え直したものであり、他の中期インド諸語の研究にも通じる内容になるだろう。
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