研究課題/領域番号 |
21K12848
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山本 孟 山口大学, 教育学部, 講師 (90793381)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ヒッタイト / アナトリア / 冥界 / 死生観 / 魂 / ヒッタイト王国 / 王権 / 前2千年紀 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、文献調査と現地での遺跡調査をあわせた研究手法を用いる。神話と祭儀文書における冥界の神々や死者の霊に対する祭儀への言及から、ヒッタイトの冥界観を理解すると同時に、死と冥界に関する表現の分析を通じて、王家と王家以外の人々の供養のあり方の違いを明らかにする。これらの文献学の手法で得られた成果に基づき、現地で遺跡調査を実施して各種の宗教施設で行われた祭儀を同定し、王の供養のあり方を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、「ヒッタイト王国の人々がどのような冥界観を抱き、王の霊魂はどこへ行き、現世にどのような影響を与える存在と考えられていたのか」を考察する。本研究は、前2千年紀ヒッタイト王国の人々が信じた冥界と王権の関係性を理解し、ヒッタイト独自の冥界観を明らかにすることを目的としている。そして、その成果を周辺のエジプト・メソポタミア・聖書世界とも比較し、ヒッタイトを軸に古代東地中海世界における冥界観の共通点と差異を理解することを目指している。本研究では、三段階の研究を実施する。はじめに、文献調査として神話文書等をもとに、ヒッタイト文書に表される冥界観を理解する(研究1)。次に、「死」にかんするヒッタイト語表現の分析を行い、そこに現れる死生観を明確にする(研究2)。また、トルコで遺跡調査を行い、宗教建築遺構・霊廟で行われる祭儀の方法・目的を考察する(研究3)。 2022年度は、研究2・3を開始した。ヒッタイトの神話・儀礼文書における、人間や神々の「魂」を意味する言葉を用いた表現を整理し、死後に肉体を離れて死者の世界へ至る「魂」のイメージを明らかにし、死の捉え方について考察した。この成果の一部は、西南アジア研究にて発表した(山本 孟「「魂」の冥界への転移ーヒッタイトにおける冥界観についてー」)。また、水辺と冥界の関係についての研究を行い、2022年9月に、研究協力者らと同志社大学一神教学際研究センターで「CISMORリサーチフェロー研究会:古代中近東における「冥界」」にて報告し、意見交換を行なった。研究会全体の成果は、山本 孟(編)『CISMORリサーチフェロー研究会プロシーディング:古代中近東における「冥界」』として論文集にまとめた(自らの発表内容は、第1章 山本 孟「ヒッタイト王国の宗教における水辺ー水辺にかんする研究動向と沼地についての考察ー」)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進んでいる。ただし、研究2については、さらにヒッタイト文書における、死の表現や冥界の神々に着目したアプローチが必要であると考えている。これにかんする神話・儀礼文書および王碑文等の史料読解を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には、これまでの研究成果をまとめ、トルコで開催される第11回ヒッタイト学会で発表する。なお、同時にトルコでは研究3の調査にあたり、2023度も遺跡の踏査および現地での発掘隊の参加を予定している。
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