研究課題/領域番号 |
21K12853
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | (財)古代オリエント博物館 |
研究代表者 |
岩嵜 大悟 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 共同研究員 (00770166)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 人身供犠 / 宗教儀礼 / 古代オリエント / 地中海世界 / 暴力 |
研究開始時の研究の概要 |
現代社会は幼児虐待や自爆テロなど人間の生命を軽んじる問題が山積している。人命を捧げる宗教儀礼として人身供犠があり、古代オリエント・地中海世界の諸地域にもみられる。本課題では「人身供犠にみられる宗教儀礼の残忍性」という問題意識のもとに、人身供犠を古代オリエント・地中海世界での宗教史・文化史に位置づけ、その特質を明らかにする。その際、考古資料と文献資料を共に扱い、研究方法として、考古学的な分析、および言語学・文献学の知見に基づく読解と内容分析を併用する。さらに、この地域の人身供犠の諸特徴を祭儀・供犠・埋葬儀礼などの宗教学上の言説と対論する。これらを通して、人身供犠の宗教的特質を解明する。
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研究成果の概要 |
古代オリエント・地中海世界での人身供犠に関連するとされてた文献および考古学的な発見を検討し、それぞれの地域での特色や他の宗教儀礼との関連を明らかにできた。 同時に、これまで同じ「人身供犠」に関するものとして一括りにされることが多かったが、人身供犠とは何であるか、どこまでを人身供犠と呼ぶか、他の祭儀との違いをどのように考えるかがしばしば研究領域および各研究者の見解に依存しており、概念の有効性を吟味・再検討する必要があることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
古代地中海文明を基盤とする欧米のみならず世界各地の文学作品で「自己犠牲」や「身代わり」は好まれる文学モチーフの一つであり、人身供犠を対象とする本研究の進展は、人類の宗教理解・文学理解に資するところが大きい。 幼児虐待が保護すべき乳幼児を生命の危機に晒すという点で人身供犠の中でも幼児供儀と、自爆テロが宗教的意図を達するために(自身を含む)人命を絶つ点で人身供犠全般と、それぞれ本研究は関わりを有している。もちろん、安易な関連付けや比較は慎重であるべきだが、人身供犠の特質を解明する本研究の進展はこれら現代の課題にとって示唆的である。
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