研究実績の概要 |
本研究はスーフィー教団を思想面から検討することで、スーフィズム思想研究とスーフィー教団研究との接点を見出し、両者を一連の思想史として捉えることを最終目標とし、スーフィー教団という組織をスーフィズム思想という面から考察する事で、現代まで継承されるスーフィズムの源泉としての中世期スーフィズム思想の役割を明らかに提示することを目指した研究であった。具体的に本研究は、1)教団の始祖(教祖)と見做されたスーフィーと、2)教団の実質的な運営者、そして3)教団組織という3者に注目する。中世期のスーフィズム思想が、教団運営者によって教団教義へと取り込まれ、教団員によって実際に修行の一環として実践される、という流れに沿い、3者の思想的な関わりの様子を資料から具に読み解くことで、1)教団の始祖とされたスーフィーの思想を教団運営者がどのように理解し、取捨選択を行ったのか、及び2)始祖の思想は教団においてどのような役割を果たしたのかを明らかにすることを目指した。最終年度においては特にメヴレヴィー教団に関わるテクストであるMathnawi-i manawi及びMaarifの精読に注力することが出来た。本年度の研究成果は「メヴレヴィー教団と聖者」(日本宗教学会第82回大会)、及び“Rumi and Sultan Walad's View of the Saints: The Authorization of Saints in the Formative Era of the Mevlevi Order,”(Sufi Thought and Practices from Past to Present Workshop, Uskudar University, Istanbul)、「スルタン・ヴァラド著『マアーリフ』第4, 5章翻訳」(『イスラム思想研究』第5号)として発表、翻訳の投稿を行った。
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