研究課題/領域番号 |
21K12864
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
WOOD JEREMY 名古屋大学, 国際開発研究科, 助教 (70850725)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 近思録 / 儒教 / 朱子学 / 山崎闇斎 / 崎門派 / 東洋哲学 / 日本思想史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、江戸時代の儒者山崎闇斎とその学派における『近思録』という朱子学の入門書の受容と解釈史を課題とする。山崎闇斎とその学派の『近思録』現存資料を分析し、それらの思想的特徴を明らかにすることを目的とする。その研究方法として、各資料を解読、分析し、「敬義内外説」など、闇斎の『近思録』解釈に由来する彼独自の学説の成立過程を中心に論じ、さらに闇斎が受けた中国や朝鮮先儒の影響を明らかにする。次に、佐藤直方、浅見絅斎、三宅尚斎、崎門派のいわゆる三傑とそれぞれの学統における『近思録』解釈の特徴を明らかにし、その上で、3人の学統がいかに闇斎説を継承し、発展させているかに着目し、考察を進めていく。
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研究実績の概要 |
山崎闇斎とその学派における『近思録』の受容と解釈史を明らかにすることを目的とする本研究において、2022年度は昨年度に引き続き、千葉県文書館の旧蕪木文庫蔵の山崎闇斎の『近思録講義』に焦点をあて、その解読・翻字等、基礎的な資料調査を進めた。本調査の成果の一端として、『近思録講義』にみられる闇斎とその弟子との関係の様子を明らかにした。また、『近思録講義』を闇斎の『文会筆録』の『近思録』に関する箇所と闇斎の「近思録序」の内容との比較対照により、南宋の儒者であった葉采(しょうさい)の『近思録集解』に対する闇斎の見解について明らかにした。従来の理解と違い、闇斎は葉采の解釈に対して全面的に否定的ではなく、彼が葉采の注を積極的採用しているところもあることがわかった。さらに、闇斎とその学派における『近思録』理解・研究の全体像を把握するため、崎門派における『近思録』の読書順についても調査を行った。周知のように『近思録』は道学の入門書として、四書(『大学』、『論語』、『孟子』、『中庸』)を読む前の階梯として朱熹らによって作成された。しかし、その内容の難解さにより日本の朱子学派の儒者はほとんど四書の入門書として『近思録』を利用していない。ただし、本研究の調査により、闇斎をはじめとする崎門派は、三宅尚斎を除く、『近思録』を初学者用の入門書として勧めていることがわかった。以上の成果を今後順次発表する予定である。闇斎の『近思録講義』の翻刻と解題の一部も次年度学会誌に発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により、千葉県文書館蔵、旧蕪木文庫を中心に、研究対象となる全国の図書館・資料館に点在している崎門派の『近思録』資料調査を最初に予定していたように実施することはできなかったため、現在各資料の調査・収集にはやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続き千葉県文書館蔵旧蕪木文庫蔵の崎門派や『近思録』関連資料を中心に調査を行い、その目録作成や闇斎の『近思録講義』の翻刻を続ける予定である。
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