研究課題/領域番号 |
21K12868
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
丸山 瑶子 東京藝術大学, 音楽学部, 助手 (10897482)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 室内楽 / 楽曲分析 / 音楽学 / 音楽史 / 楽器法 / ピアノ三重奏曲 / 編曲 / 比較研究 / 19世紀 / 18世紀 / 様式研究 / 芸術学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、18世紀末から19世紀初頭の室内楽の楽器法の様式的特徴を楽曲分析によって明らかにすることである。加えて、作品成立背景に鑑み、様式の変化などから当時の室内楽の社会・文化に対する意義を捉え直す。 従来の研究は室内楽をジャンル史として論じる基礎を成すはずの楽器法に関する徹底的な議論に欠け、また複数の作曲家を包括的に扱った様式比較という、時代様式研究の妥当性を支える研究にも乏しかった。本研究は多数の作曲家を対象にした楽曲比較分析を通し、当時の室内楽に共通して見られる楽器法の様式を解明する。これは室内楽研究における決定的な不足を補い、今後の室内楽研究のための有用な基盤を作り出すものである。
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研究実績の概要 |
2022年度は第一に、分析結果から得られた成果に新たな分析・調査を加え、論文にまとめた。とりわけ管弦楽曲の室内楽編曲の音楽分析を行い、19世紀の編曲が作られる際に楽器の音色(楽器の種別による音色だけではなく、音域などによって相違する音色も含む)が重要な役割を果たしていたことが明らかになった。それは単にオリジナルの管弦楽による豊かな音響変化を再現するという意味だけではなく、形式の明確化などにも寄与している。この室内楽アンサンブルへの編曲手法は、当時の室内楽の作曲技法が生かされている可能性があることから、編曲ではない室内楽作品の音響構成を考察する際に有用な参照項となるだろう。 加えて、前年度までに行ったピアノ三重奏曲の研究の延長として、ピアノ三重奏曲におけるチェロの旋律的使用を分析した。ピアノを含む室内楽におけるチェロ声部の独立はかねてより注目されてきたが、チェロが楽曲中のどこで他の二つの楽器から独立して旋律を担うのかは十分に検討されていないように思われる。この点については現在、調査を続行中である。作曲家の身近に有能なチェロ奏者がいたか、公開演奏会を想定したかなども作曲法に影響すると考えられることから、十分な考察のためには作品の作曲契機や演奏機会も調査する必要があるだろう。 またコロナ禍で不可能だった海外への資料調査へ赴き、これまでアクセスできていなかった手稿資料・初期印刷楽譜を調査した。2023年度は収集した楽譜資料の基づき分析を継続する。ただし2022年度中の海外調査で入手・閲覧不可能だった資料があることから、2023年度中に不足した資料を補う必要が生じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の進捗が遅れている原因の一つは、昨今の世界情勢である。2022年度はコロナ禍で不可能だった海外機関での資料調査と研究者との議論を実現したかったが、航空費の高騰および一部地域は情勢悪化のため渡航の安全性が危ぶまれ、国外調査を控えざるを得なかった。その結果、収集予定の資料獲得が年度末になった。したがって予定していた楽曲の分析の実行が大幅に遅れている。 また、対象に設定した各ジャンルのレパートリーが一部の作曲家に偏る、ないしは予想より作品数が少ない場合もあり、対象の一部見直しが要されている。ここから改めて作品の所在などの調査が求められ、楽曲分析に至れていない作品が出ている。 その反面、2022年度は過年度に行った分析・調査を公開するための論文執筆が進行した。年度内に刊行された論文以外の研究成果も、現在投稿中および執筆準備中である。また演奏者や他の研究者からの知見により、今後の研究に取り入れうる観点を得た。ここから、これまでに分析研究を実施した作品についても、さらなる考察を重ね、新しい成果を出すことが可能になると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、第一に2022年度から継続しているピアノ三重奏曲についての分析研究を進める。考察の観点として、演奏場所や機会も調査を行うため、作曲背景に関する文献資料の収集、精査に努める。調査結果は可及的速やかに論文ないし学会発表において公表することを目指す。 ピアノ三重奏曲の研究が終了次第、ピアノともう一つの楽器のための二重奏曲の様式研究を継続する。ただし楽譜収集状況があまり芳しくない。また、昨今の世界情勢ゆえに、海外機関での楽譜資料調査も地域によっては困難な状況である。したがって、楽譜が入手できる作曲家の中から対象を限定する必要がある。当初の研究予定は地域ごとの様式の相違も解明することを目標に据えたが、場合によっては部分的比較ないしは限定的な比較から考えられうる様式的相違の抽出するところまでを目指す。 また当初の想定と比べて、研究で扱う予定だったジャンルについて、対象に設定した作曲家による作品数が予想よりも少ない、または統一的ではないことが明らかになりつつある。そのため2023年度以降、分析を作品数の多いジャンルに集中させ、むしろ研究の観点を多様化する方向性を考えている。 さらに、最近になって研究対象の作曲家の作品演奏会が増加している。そのため演奏の聴取と演奏家との議論も研究遂行に取り入れることを考慮したい。
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