研究課題/領域番号 |
21K12878
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 成城大学 (2022-2023) 東京藝術大学 (2021) |
研究代表者 |
山本 樹 成城大学, 文学研究科, 特別研究員(PD) (90876343)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ボローニャ派 / バロック / アゴスティーノ・カラッチ / ボローニャ / カラッチ一族 / 美術アカデミー / エミリア地方 / 図像学 |
研究開始時の研究の概要 |
16世紀後期ボローニャの画家一族カラッチは、美術史上初期バロックと言われる時代に活動し、17世紀美術の主流となる古典主義的様式を確立した。しかし、従来その評価は様式的な側面に偏っており、パトロネージや図像学的な観点からその美術史的位置付けを見定めよ うとする研究は、近年緒に就いたばかりである。本研究はアンニーバレ・カラッチを中心に、パルマやレッジョ・エミリア等で制作された作品群を取り上げ、図像学的観点から考察を行う。これによって、エミリア地方全域におけるカラッチの制作活動に着目し、ボローニャからローマでの円熟期へと至るまでの彼らの造形言語を跡付けることを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は文献収集および一次史料の精読に取り組んだ。また春の長期休暇を利用して、レッジョ・エミリアにも足を運ぶことができた。 本研究における同地の重要性は、アンニーバレ・カラッチが活動をおこなっていたことにある。アンニーバレは1580年代から90年代にかけて、レッジョ・エミリア司教座聖堂や聖ロクス同信会のために宗教画を描いた。画家が故郷ボローニャの外で重要な仕事を得られた背景には、レッジョ・エミリア出身でファルネーゼ家お抱えの文人、ガブリエレ・ボンバージの仲介があったとされる。ボンバージとの交友が、アンニーバレがのちローマのファルネーゼ家に出仕するための直接的な契機となったことに鑑みれば、画家にとってのレッジョ・エミリアでの活動期の重要性は疑われない。しかし、アンニーバレの作品が設置されていた聖堂の一部は取り壊されており、作品自体も売却されてイタリア国外のコレクションに入っているため、歴史的文脈を再構成したうえでの作品研究は容易ではない。
今年度の渡航調査では現存する聖堂群のうち、本研究にとってとりわけ重要度が高いと思われる場所を中心に見学した。すなわちアンニーバレが《聖ルカの聖母》を描いたレッジョ・エミリア司教座聖堂、《聖マタイの聖母》を描いたサン・プロスペロ聖堂、そして17世紀ボローニャ派の絵画装飾が残るギアーラ聖堂である。このうちサン・プロスペロ聖堂では、フランス人画家ジャン・ブーランジェによる《聖マタイの聖母》の複製画とその設置状況を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献精読や現地調査が学会発表や論文といった具体的成果に結びついていないため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、関連図書の収集および精読を通じて、フェッラーラやパルマ、レッジョ・エミリアといった周辺諸都市におけるカラッチの活動の体系的理解を試みる。また、夏期あるいは春期休暇を利用して渡航調査を実施する。
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