研究課題/領域番号 |
21K12882
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
田中 水萌 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (70844984)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 絵巻 / 神将形図像 / 仏画 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は後白河院が蓮華王院の宝蔵に収集した絵巻物のひとつである「六道絵」と関連深い作品である「辟邪絵」「地獄草紙断簡」勘当の鬼図を中心に取り扱う。 多くの先行研究の蓄積があるが、新出資料による指摘や詞書の解釈など、新たな指摘もなされている。 本研究では治病、院の近臣らによる図像収集という視点から「辟邪絵」詞書の典拠や図像的源泉を明確にしたうえで、後白河院周辺における絵画制作の様相を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究においては、後白河院の蓮華王院宝蔵に納められていたと考えられる「辟邪絵」「地獄草紙断簡(勘当の鬼図)」を中心に、絵巻制作当時の信仰の様態などから改めて作品の制作背景を検討する。 本年度においては、「辟邪絵」「地獄草紙断簡(勘当の鬼図)」「病草紙」および「地獄草紙」や「病草紙」の詞書であると指摘される詞書断簡の詞書の解釈を行った。これらの詞書は経典等を直接参照したのではなく、経典と詞書の間に説話があったのではないかと考え、成立年代の近い説話集である『今昔物語集』や『本朝神仙伝』、『古本説話集』を中心に比較検討を行った。 比較対象とする説話の分量が十分でなく、説話の諸本間で相違があること、原文が漢文であるものがあること、とくに「辟邪絵」の詞書には「辟邪絵」制作までに成立した文学作品等に用例の見られない文言があることなど、問題や検討事項が多く残る。 また前年度に続き、福井県立博物館にて現在明通寺が所蔵する「彦火々出見尊絵巻」の巻一から巻三の三巻を実見した。龍宮の場面についてはすでに金剛山寺「矢田地蔵縁起」の閻魔王庁と近似することが指摘されるが、主人公が裸足で描かれることや龍王の眷属の描写、婿入りの場面や女官たちの支度の様子など、細部に注目して検討を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度より引き続き新型コロナウイルス蔓延による活動自粛等にともない一部調査を延期した。次年度以降に行うこととする。
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今後の研究の推進方策 |
「辟邪絵」等の詞書の検討については引き続き説話集などとの比較を続ける。 今後は大江匡房や藤原信西と関係する資料や詞書との検討、また詞書を絵画化する際に典拠となる図像について検討を進める。
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