研究課題/領域番号 |
21K12883
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
川上 恵理 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (10844813)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 西洋美術史 / 北方マニエリスム / 神聖ローマ帝国 / 北方版画 / 近世ヨーロッパ / 16世紀美術 / 版画 / ルドルフ2世 / マニエリスム / 北方ヨーロッパ / 複製版画 / 宮廷美術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、神聖ローマ皇帝ルドルフ2世のプラハ宮廷における版画受容のされ方がいかに北方版画制作に影響したかを、宮廷での版画の受容方法と機能を読み解くことで明らかにする。この研究においては、皇帝が版画の刷りと原版の双方を収集していたという実情にもとづき、刷りと原版の二側面から宮廷での北方版画受容の様相と版画が持ちえた役割を調査する。 版画の原版と刷り、そしてそれらの原画という、素材や生産量など異なる特性をもつメディウム間の差異や影響関係を踏まえて考察を行うことで、多角的に版画受容とその影響を考察できる。これにより、北方の版画制作と受容のメカニズムを受容者である宮廷側の目線からとらえ直す。
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研究実績の概要 |
本年度の研究内容は、おおよそ次の2点に集約される。 まず、前年度に引き続きヘンドリック・ホルツィウスの銀製原版《ケレスとバッカス、ウェヌス(ケレスとバッカスいなければウェヌスが凍える)》(1595年、ウィーン、美術史美術館)の作品研究を進めた。前年度からの研究成果については、神聖ローマ皇帝ルドルフ2世による原版の受容とプラハ宮廷という文脈から、同宮廷においてこの作品がもちえた意味を考察し、口頭発表を行った。その際の意見交換にもとづき、論の前提となる原版の所有者について、すなわちこの原版が皇帝に所有された可能性について更なる考察が必要と考えた。そのため、次なる3月の口頭発表では、印刷特認権と版画制作の関係、そして王侯との関係より、作品が皇帝に所有された可能性について検証を試みた。次年度は、この2つの成果を総合的にまとめた研究成果の発表を行う予定とし、引き続き調査を進める。 そして、ルドルフ2世と北方版画の関連をより具体的に明らかにするため、皇帝が発行した印刷特認権(privilegium impressorium)の保護状の調査をもとに、印刷された図像全般に対する印刷特認権発行の実態についてもまとめた。これは2021年度の版画家に対する印刷特認権の研究を押し広げたものであり、その成果は史料紹介として発表している。この調査により、版画を含む印刷された図像に対する皇帝の印刷特認権発行の実態を明らかにし、当時の帝国が印刷物や印刷された図像の流通において、ひとつの中心的役割を果たしていたことを具体的に示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に引き続き、本年度もルドルフ2世が発行した印刷特認権の発行の実態についての研究および成果発表を行ったため、本課題の研究に時間を要している。しかし、この研究により、相乗的に他の研究が進展したことも確かである。本年度調査を進めた美術史美術館所蔵のホルツィウスの銀製原版には、彼が得た印刷特認権の発行年である1595年の年記があり、本年度3月の口頭発表では、印刷特認権に関する研究成果と結びつけて成果を発表することができた。このように、全体的な研究の進展は遅れているものの、個別の研究の深化につながったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、「研究実績の概要」でも述べたように、ヘンドリック・ホルツィウスの銀製原版に関して2023年度に行った2つの研究成果をとりまとめ、さらにその際の意見交換をもとに研究をより進展させて成果発表を行う予定である。ただし、それには在外調査が不可欠となる。オンラインデータベースでは確認できないものの、パリやウィーンの美術館には、その銀製原版による稀少な初期の刷りが現存していることがこれまでの調査から判明しており、現地で実見調査を行う。 また、宮廷版画家エギディウス・サーデレルの原版など、ルドルフ2世が所有したその他の原版に関する調査も進め、ルドルフ2世が所有した同時代の原版の受容に関する研究をとりまとめていく。
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