研究課題/領域番号 |
21K12892
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
武 瀟瀟 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 客員研究員 (40869129)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 瀟湘八景 / 庭園 / 名所 / 山水画 / 起絵図 / 平安文学 / 風景 / 室町絵画 / 建築と絵画 |
研究開始時の研究の概要 |
従来「瀟湘八景」の研究では看過されてきた平安時代における瀟湘地域に対する文化的コンテキストに着目し、室町時代以降の流行との関連を明らかにする。つまり、中国画題の受容史の研究では、古代に第一次伝来した「唐絵」と中世に第二次伝来した「漢画」を断層的に認識され傾向があるが、本研究はこの溝を埋める試みである。
具体的な作例として、従来注目されなかった大仙院方丈書院庭園(以下大仙院庭園と略す)と室中の瀟湘八景図襖絵の関連性に注目し、大仙院において、室町時代の瀟湘八景図の通例に従って、造園が行われた可能性を究明する。具体的な作例に即して、庭園を視野に入れて、画題の受容研究をする視座は独自性を有する。
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研究実績の概要 |
中国で成立した「瀟湘八景」は、室町時代に日本で最も流行した水墨山水画のテーマである。絵画に限らず、文学、庭園など、多様な分野に取り入れられ、東アジア文化圏における文化の伝播―受容と変容―の研究にとって重要な位置を占める。本研究は、瀟湘八景という画題の日本での受容を、文学、絵画、庭園など、領域横断的な視点から研究し、瀟湘八景の日本での受容の様相を解明し、総合的に全貌を把握することを目指している。今年度は、日本国内の瀟湘八景と関する作品調査と庭園の調査を中心に行われ、主に以下の4点を実施した。 1.瀟湘八景は日本に伝来され、広く受容された中世以前の文献の収集と分析を中心に研究を行いながら、瀟湘地域の以外の中国の「名所」へ広げて、上代唐絵の中に、中国の「名があるところ」を考察し、論文を作成した(2024年度に出版予定)。 2.方丈建築、内部の障壁画、そして方丈の庭園は同時期に遡る中世の唯一の作例とする大仙院について、昨年度東庭の調査を実施したことに続いて、今年度は室中の相阿弥筆「瀟湘八景図襖絵」(京都国立博物館寄託)の作品調査の機会を得た。 3.現存する室町時代まで遡る庭園の作例が少ないため、調査対象を戦国大名の庭園遺跡に広げて、一乗谷庭園遺跡(福井市)、吉川元春館庭園遺跡(広島県山県郡)を調査し、新しい視点と問題点を得ることができた。 4.永保寺庭園(岐阜県多治見市)、縮景園、厳島八景(広島市)など日本国内の庭園と景観の調査を実施した。最終年度論文にするための下準備を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021、2022年度は、新型コロナウイルスの蔓延に伴って、予定していた日本国内外の調査の実施が大幅に遅れていた。今年度は依然として中国湖南省と浙江省の現地調査はできなかった。なお、本研究にとって最も重要な大仙院障壁画の作品調査を実行することができ、最終年度の研究へつながる活動ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
延期された中国湖南省と浙江省の現地調査を実施する。調査結果と研究成果については、来年度中くらいまでには、国内の学会やシンポジウムでの口頭発表、学会誌への投稿を行う予定である。
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