研究課題/領域番号 |
21K12917
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高尾 祐太 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 助教 (20894380)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 中世文学 / 中世の言語観 / 古注釈書 / 性霊集 |
研究開始時の研究の概要 |
中世の知識人たちに分野を越えて共有された知識の体系(以下、〈中世の知〉)を明らかにする研究の一環として、空海『遍照発揮性霊集』の古注釈書の調査・収集と読解を行う。これにより、〈中世の知〉の中核を為す『大乗起信論』的世界観(如来蔵思想)の言語哲学的側面が、文芸と交錯するまさにその最前線でどのように展開してゆくのかを探る。中世において、本来仏教的には狂言綺語として忌避されるべき文芸が一転して聖化され、或いは文芸が仏教的理論化されることがしばしば見られる。本研究はそうした中世文学のダイナミズムの中枢に思想的側面から着実に迫るものである。
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研究実績の概要 |
本年度も新型コロナウイルス感染防止のための移動制限により、現地での資料調査は進んでいない。その代わりに、本年度は引き続き、東寺三宝の一人杲宝(1306ー1362年)の『性霊集緘石鈔』等のこれまでに収集した資料の翻刻と分析を進めた。またその他にも、本研究の目的である中世の言語観と文芸との関わりに関する研究の一環として、前年度の課題として残されていた、金春禅竹(1405ー1470年頃)と学的交流のあった東大寺戒壇院十六代長老の志玉(1374ー1463年か)の『華厳五教章』の講義録に見られる草木成仏説を分析し、それを踏まえて禅竹作の能《杜若》の読解を試みた。その成果は2022年度中世文学会春季大会で発表し、近日中に論文として公表される予定である。これにより、中世における、言語と存在をめぐる仏教の思索と文芸との関係を明らかにする本研究を着実に前進させることができたことと思う。 次年度は新型コロナウイルス感染防止のための移動制限が緩和されることが見通され、ようやく現地での資料調査を進めることができると思われる。残された期間と相談しつつ、着実に調査を進めてゆきたい。また、現地での資料調査と平行して、上記のような隣接領域の研究も継続してゆく。禅竹だけでなく世阿弥や天台僧慈円(1155ー1225年)など、彼らの言語観と文芸作品の分析も進めつつ、多角的に本研究の目的である中世の言語観と文芸の問題に迫ってゆく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染防止のための移動制限の影響はやむを得ないが、その中でも着実に資料の翻刻と調査を進めつつ、本研究の課題と密接に関連する成果を公表した。
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今後の研究の推進方策 |
移動制限が緩和され次第、現地での調査を開始する予定である。その他、本研究の課題と関連する研究も引き続き継続してゆく。
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