研究課題/領域番号 |
21K12924
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
時田 紗緒里 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (00898067)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 日尾邦子 / 紀行文 / 漢学 / 和学 / 歌学 / 随筆 / 近世文学 / 近世女性文学 / 和歌 / 和文 / 花月園漫筆 / 日記文学 / 近世和文 |
研究開始時の研究の概要 |
近世(江戸時代)後期の女性文学者・日尾邦子について研究する。 邦子は優れた歌人(和歌作者)であるが、漢学者・日尾荊山の妻として漢学の素養を持っていたと考えられる。また、紀行文や随筆を執筆した和文作者でもあった。 邦子について、「①伝記および学問体系を示す」「②未翻刻の作品について翻刻と内容を把握する」「③邦子の和文の特徴、執筆手法を明らかにする」、以上三点を目的として研究を進める。 方法としては、まず邦子の伝記をまとめ、その学問体系や思想を明らかにする。そして、『花月園謾筆』(随筆)、『江の島紀行』(紀行)を中心に翻刻と内容の分析を行う。
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研究成果の概要 |
日尾邦子の旅日記『江島鎌倉紀行』には、邦子が即興で詠まれた漢詩を直ちに理解して、その内容を踏まえて詠んだ和歌がある。邦子の詠歌能力と共に、漢学への素養をうかがわせるものとして重要であることを指摘した。 以上の内容について、「日尾邦子江島鎌倉紀行」と題して論文を執筆し発表した。(『国文目白』第六十一号六〇~六十九頁、二〇二二年二月) また、同著者作『花月園漫筆』の分析により、邦子の興味の範囲は、詠歌そのものよりも「歌語」に及んでおり、本書は歌学書的な要素を持つことが明らかとなった。以上の内容は、「日尾邦子『花月園漫筆』考」と題して論文化して発表した。(『国文目白』第六十三号、二〇二四年二月)
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日尾邦子は漢学の素養を持ち、散文の執筆を行っている(『江島鎌倉紀行』、『花月園漫筆』)。いままで、邦子は教育者として、あるいは歌人としての面に注目されて、執筆活動については知られていなかった。 近世の女性文学者については、未だその実態が明らかになっていない。しかしながら、数多く存在し、その著作も多く残されている。解明されない理由は、出版文化が隆盛した近世において、女性の作品は写本により流通し、限られた範囲でしか読まれていないためである。注目されていない現存する女性文学者の著作を翻刻・研究することは、文学史的意義がある。
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