研究課題/領域番号 |
21K12928
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 玉川大学 (2022-2023) 早稲田大学 (2021) |
研究代表者 |
野村 亞住 玉川大学, 文学部, 講師 (30710561)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 俳諧 / 式目 / 貞徳受容 / 季吟 / 元隣 / 芭蕉 / 近世文学 / 季語 / 連句 |
研究開始時の研究の概要 |
芭蕉の師と目される北村季吟の著作物は、解説手法が的確で後世への影響が極めて大きい。本研究では、季吟著の季寄せ『増山の井』(寛文七年)における「貞徳」受容に注目し、その実態と実際の俳諧での運用を調査する。貞徳受容は、当時の俳諧師たちにどのような影響を与えたのか。季吟に注目することで、芭蕉につらなる俳諧史上での貞徳受容の歴史的意義が明らかになるとの見通しのもと、式目作法書・季寄せ・歌学書などの著作物と実際の俳諧での運用実態との両面から後世への影響を考察する。本研究は、近世前期における「ことば」が「俳諧」の中で、実作・著作物を介してどのように変容していくのか、そのメカニズムの解明を試みるものである。
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研究実績の概要 |
研究年度三年目となる2023年度は、前年度にひきつづき、貞徳没後の俳書で「貞徳」の説が引かれる箇所の検証とデータ作成および分析を行った。前年度の季吟・元隣に加えて芭蕉関連の俳書も分析対象にくわえて、「御傘」などの俳書名や「貞徳云」「貞徳説」「貞徳言」などとと明記される箇所を中心に抽出し、分析項目に加えてのデータベースの増強をはかった。また、ひきつづき、上記のように明言されないものの他の書には見られなかったり、異説であるものの『俳諧御傘』や『天水抄』などとの類似点の見られる項目についての抽出にも注力した。なお、貞徳からの踏襲とみられる類似点を見出だすための分析観点の割り出しについては、引用句や細かな単語や言い回しなどを含め慎重に行っている。元隣の『誹諧小式』での抽出に関しては、季吟の言説とされたり、明言されないものの季吟から踏襲されていると見られる内容について、上記と同様に検証すべく慎重に抽出している。なお、本年度は冬に、寛永十六年三月筆の『天水抄』の巻子本を入手することができたため、『天水抄』自体の検証も並行して実施した。なお、母利司朗「正本『天水抄』考」(『連歌俳諧研究』100号、2001.1)によれば、宮内庁書陵部本の『天水抄』に「成立年次を「寛永十六年 三月吉日」とするが、根拠不明」とあって、本書はその系譜に位置するものと思われる。次年度にはひきつづき、入手した『天水抄』との関連も含めて分析を行い、研究の総括としていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、資料の追加によるデータベースの拡充を進めつつ、データの分析に着手した。前年度までに蓄積した『俳諧御傘』のデータ化をさらに進め、分析精度を高めたことにより、後の俳書における貞徳の言説との照合や類似表現の割り出しに注力できた。くわえて、多角的な考察を行うために、考察観点項目の追加など作成中のデータベースの増強を行っている。さらに、本年度の冬にあらたに貞徳受容を考察するための資料が入手できたことがデータ分析の一助となっている。
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今後の研究の推進方策 |
研究年度の最終年度となる2024年度は、研究の総括として、データ分析を中心に行い、貞徳受容の実態の考察を深めることとする。作成したデータベースは分析を行いながらも増幅させ、さまざまな角度からの分析ができるよう努めたい。また、申請者が独自に作成してきた季吟門連句のデータベースや芭蕉連句のデータベースも活用しつつ、後世における貞徳受容の実態解明をめざす。入手した『天水抄』との関連も含めてさらなる分析を行い、研究の総括としていきたい。
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