研究課題/領域番号 |
21K12929
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 大妻女子大学 (2022-2023) 早稲田大学 (2021) |
研究代表者 |
金 ヨンロン 大妻女子大学, 文学部, 講師 (60806595)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 捕虜問題 / 戦争裁判 / 沖縄文学と捕虜 / 朝鮮人戦犯 / 捕虜 / 国際法 / レイシズム / 法と文学 / 日本文学 / 捕虜(POW) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、第二次世界大戦後に書かれた日本文学のなか、戦争捕虜(POW)をテーマにしたものを時期別にまとめる。戦後文学には、戦場や占領地で捕虜になった帝国日本の兵士や、日本軍の捕虜となった連合国の兵士が多く登場する。本研究では、捕虜の存在に注目した通史的な研究を行うことによって、個々の作品分析からは見えにくい、日本文学の特徴を明らかにし、戦後文学研究に新たな視点をもたらす。また、戦争捕虜を描いた文学が形成する主題のなか、とりわけ国際法への理解とレイシズムの問題を検討する。
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研究実績の概要 |
当初の研究計画で示した通り、本研究の主要な目的は、捕虜を描いた日本文学を調べ、時期別にリスト化することである。そして捕虜を扱った文学作品群は、捕虜問題を重視した東京裁判やBC級裁判といった戦争裁判を描いた作品群と重なる。具体的に2023年度の実績としてまず挙げたいのは、戦争裁判を取り扱った作品のリストを末尾に付した単著、金ヨンロン『文学が裁く戦争――東京裁判から現代へ』(岩波書店、2023年11月)を刊行したことである。そのなかで、捕虜問題が時代別にどのように認識され、語られてきたのかということを大まかに素描することができた。また、岩波新書という形でより多くの読者に積極的に研究成果を伝えることができた。 また、カナダのUBCで研究調査を行い、捕虜に関連する資料(手記や文学作品)を調べると同時に、研究発表を通してその成果を発信した(Younglong Kim, Akito Sakasai, Pau Pitarch Fernandez (Moderator, Christina Yi)「Panel 5: Global Japanese Studies in Japan」(『Rethinking Global Japanese Studies Symposium』2024年3月11日、UBC)。 他にも、レイシズムの問題とかかわるような研究業績として、映画評(金ヨンロン「映画『福田村事件』と〈誤認説〉」(特集 関東大震災一〇〇年と文学 映画『福田村事件』批評集)(『社会文学』59号、91-94頁、2024年3月))を挙げることができる。また、連続座談会を通して、本研究のより大きな文脈化を行った。その成果の一部は、宇田川幸大、内海愛子、金ヨンロン、芝健介「連続討議 戦争責任・戦後責任論の課題と可能性(上) 」(『思想』1199号、125-142頁、2024年3月)に掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの成果を単著に書き上げる一方で、カナダなどで現地調査や成果の発信も行い、計画通りに順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、韓国の国際シンポジウムにて捕虜問題に関する発表を行い、様々なバックグラウンドをもっている研究者たちからコメントをもらうと同時に、韓国において進んでいる「捕虜と文学」の研究(朝鮮戦争を中心とした文学研究)について調査を行いたい。一方で、国内の文献を通して、オーストラリア文学における捕虜問題の基礎的な研究を行い、2025年度の長期研究調査の事前準備としたい。また、それらの成果をまとめて学術論文として発表する予定である。
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