研究課題/領域番号 |
21K12930
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
馮 超鴻 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, その他(招聘研究員) (30879705)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 玉藻前 / 狐妖 / 実録的写本 / 『三国悪狐伝』 / 中国古典小説 / 中国講史小説 / 近世文学 / 比較文学 / 読本 / 『絵本三国妖婦伝』 / 耆婆 / 中国小説 / 白話小説 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究「江戸期における玉藻前説話の研究」は、玉藻前を題材とした江戸期の文芸を対象として、日本文学及び中国文学という二つの視角から、研究・考察を行うものである。調査と分析を通して、江戸期における玉藻前説話の形成と発展の実相を解明するとともに、日本文学と中国文学の交渉、及び江戸文学の展開の様相を明らかにすることを目的とする。本研究は、一国の文学に止まらず中国文学をも渉猟しつつ、玉藻前にまつわる個々の作品を、時系列に沿って縦軸に据えると同時に、その時代の他の文芸作品を横軸に置き、縦横二つのベクトルから全面的に探求し、深く掘り下げる。
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研究実績の概要 |
玉藻前説話は中世に遡るが、近世に入ると、その内容を引き継ぎながら、玉藻前に関する作品がさまざまなジャンルに亘って作られていた。読本『絵本三国妖婦伝』と『画本玉藻譚』は、近世の玉藻前説話の集大成ともいうべき二つの作品であるが、その形成の前段階に位置し、先駆的作用を果たした作品として、僧単潮海誉著の勧化物『勧化白狐通』と、著者不明(周卜著か)の実録的写本『三国悪狐伝』があげられる。本年度は主にこの二書をめぐって研究を行った。 ①『勧化白狐通』の著者は先行の狐譚を利用して、中世の「玉藻の草子」と異なる新しい内容を案出した。作品の比較分析によって、著者が通俗物『通俗武王軍談』、中国明代の漢文小説集『狐媚叢談』のほかに、暦数書『ホキ抄』を参考にしたことが分かった。これらの書物を駆使しながら、著者が「玉藻の草子」に登場する玉藻前と安倍泰成に、それまでにない「術比べ」の内容や斑足王の誕生譚などを加筆し、人物に新しいイメージを与えたと考察した。 ②過去の資料調査により、実録的写本『三国悪狐伝』が主に二十六条の標題を持つ形態になっていることが分かった。本年度は書名に「悪狐伝」を有しながら、唐土と天竺の内容を切り捨て、専らに本朝に注目する『玉藻前悪狐伝』を新たに発見した。写本『三国悪狐伝』の内容の変貌に注目して分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中国の新型コロナウイルス対策の影響で、一時期中国での資料調査が困難になった。そのため、予定より少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に変更はなく、引き続き写本の伝本の調査、中国古典小説の伝来の実情の調査、作品の内容分析、作者の創作の実情の調査を中心として研究を進めていく。
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