研究課題/領域番号 |
21K12954
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
西谷 茉莉子 京都府立大学, 文学部, 准教授 (90756355)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 北アイルランド / アイルランド / ジョン・モンタギュー / アイデンティティ / 北アイルランド紛争 / アイルランド語 / アルスター・スコッツ / アルスター / アイルランド文学 |
研究開始時の研究の概要 |
1921年に成立した北アイルランドは、住民の帰属意識がイギリスとアイルランドの間で二分化し、さらにアルスター・スコッツのバックグラウンドが混在する社会的基盤の上に立脚していた。そのような複雑な社会において、北アイルランド出身の詩人たちが自身のアイデンティティをどのように模索していったか検証するのが本研究の狙いである。主に、北アイルランドを作品の主題にすることを意識的に試みた詩人ジョン・モンタギュー(1929-2016)の作品の分析を通して、1950年代から1970年代前半にかけての北アイルランドにまつわる文学的コンテクストとアイデンティティの問題を考察する。
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研究成果の概要 |
複雑な構造を持つ北アイルランド社会における詩人のアイデンティティと文学との関わりを、主にジョン・モンタギューの文学活動や詩作品を通して考察した。具体的には、アイルランド語やアルスター・スコッツ語に対するモンタギューの態度を明示し、紛争において両宗派の緊張が高まる中でプロテスタント出自の詩人ジョン・ヒューイットとともに行ったリーディングツアーの意義を検証した。さらに、1960年代に北アイルランド社会において促進された地域開発や、第二次大戦時にその基礎が敷かれた農業の近代化の文学的なインパクトについて考察した。それによって、作品内外から見出せるモンタギューのアイデンティティのあり方を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
北アイルランドの文学史において、「アルスター・ルネサンス」の詩人に関しては着実に研究が積み重ねられてきた。一方、その前世代の詩人の試みが北アイルランドの文学の創出にどのように寄与したかについては手薄であることが否めない。本研究の学術的意義は、1950年から70年代前半までの北アイルランドに焦点を当てたことにある。 ポスト・ブレグジットで北アイルランドがイギリスに残留する意義がこれまで以上に問われ、北アイルランドにおけるアイデンティティが、文学作品においていかに表現されてきたかという問題に向き合う必要性に迫られている。本研究課題の成果はその答えの一端を示すことにつながる。
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